宿力、佐伯尚志社長に聞く 宿泊施設向けコンサルティング事業


佐伯社長

町屋ビジネスに本格参入

  
 旅館・ホテルに特化したコンサルティング事業を展開する宿力は、財務とマーケティングの両面から課題を分析し、現場オペレーションまで踏み込んで改善する独自のスタイルが好評を博す。

 同社では、コンサルティングそのものを「ヨリソイ」という一つの商品と位置づけ、OTAコンサルティングなど複数のメニューを展開している点が特徴。データを活用しながら、再現性と拡張性のあるビジネス成長をクライアントとともに作ることを目指している。

 社長の佐伯尚志氏に昨年から行うタイでの新事業などを聞いた。

 ――新事業と京都インギオンの買収の経緯を。
 
 タイでの展開と京都インギオンの買収は、「三つの未来」への備えとして決断に至った。

 第1はAI(特にAGI)の本格到来に備えた。従来では人手と勘に頼っていたWEB運用や料金決定を、当社のノウハウをシステム化することで、日本一効率的な宿泊マーケティングの仕組みへ進化させ、日本の宿泊業に不可欠な存在になることを目指している。

 第2の要因は、日本のGDP相対順位の低下に象徴される構造変化が挙げられる。世界が成長し日本が縮む時代に、日本発の企業が伸び続けるには海外展開が必須だと捉えた。日本は「客単価」、海外は「室単価」という発想の違いがあるが、一人一人の価値を最大化する日本流の客単価発想こそが、海外での競争優位になると確信している。

 そして、インバウンドの飛躍的な成長と京都の存在も一因。特に京都はインバウンドの中心地で、世界に誇れる成功事例をつくることこそが日本の観光全体にも重要だと考え、意を決した。

 同時に、祇園では昨今社会問題として俎上に上る海外資本による土地取得が進み、町家という文化遺産が減り続けていることから、事業者として守り、有効活用するために町家ビジネスに本格参入し、その拠点として京都インギオンをグループに迎えた。

 ――タイでの展開は。

 「日本一から世界一への一歩」として位置付けている。日本の宿泊マーケティングは日本一と自任する一方で、本当に世界で通用するかを確かめるべく、最初の一歩してタイを選んだ。

 親日的で、近年「観光」を基幹産業として位置付け、英語も通じやすいという環境は、日本クオリティのノウハウを検証する上で非常に適しているため、開拓の場所に選んだ。まずはビジネスホテルの経営から始め、日本発のマーケティングと、レベニューマネジメントが海外でも成果を出せることを実証したい。

 今後は東南アジアを含むアジア各国への展開を視野に、その後はインド、アフリカといった人口成長の著しいエリアへも広げていく計画。

 ――京都インギオンの紹介を。

 4月にホテル名を「灯 ―AKARI― 京都祇園毘沙門」に変更予定の京都インギオンは、京都・祇園エリアで町家や小規模ホテルの運営・企画を担う宿力グループの京都直営事業の中核に序列する。減りゆく町家という文化資産を守りながら、宿泊を通じてその価値を未来につなぐことを使命に、日々宿泊客をもてなす。「宿力のホテル事業がここから始まる」「文化・伝統・技術をつないでいく」という思いを込め、京都にそっとともる”あかり”のような存在を目指している。

 ――日本の観光の発展に向けての提言などを。
 
 いま日本の観光業は、人口減少をはじめ、円安やAIの普及など、大きな変化と課題に直面しているが、変化や危機が大きいほど、そこに眠るチャンスも大きいと感じている。

 大切なのは、「厳しい」と嘆くよりも、商品づくりやターゲット設定、オペレーション、人材、テクノロジー活用など、あらゆる前提を見直し、変化に合わせてアップデートしていくことだ。この変化の波をしっかり捉え、自分たちの手でチャンスに変えていくことが、日本観光の発展につながると信じている。

 宿力グループとしては、業界にとって明るい話題や、新しい希望につながるモデルケースを多く生み出すべく、日々刻苦勉励に励んでいる。

 今年は日本・京都・タイで得た学びや成果を共有し、「変化の時代でも、やり方次第でまだまだ伸びていける」というメッセージを、同じ宿泊・観光業の皆さまと分かち合いたい。

 本社=東京都渋谷区渋谷2の19の15 宮益坂ビルディング209号室
 ▽主な事業内容=コンサルティング業務(Web集客、財務コンサルティング、ホームページ制作、市場調査・マーケティング、宿泊施設プロデュースなど)
 ▽従業員数=61人
 ▽連絡先=TEL03(5468)3565。


佐伯社長

 
 
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