森トラスト、映画ファンドに3億円出資 コンテンツの力で観光産業活性化へ


伊達美和子社長

 森トラスト株式会社は1月22日、株式会社K2 Picturesが運用する映画製作ファンド「K2P Film Fund I」に3億円を出資したと発表した。映像コンテンツを新たな観光資源と位置づけ、ロケツーリズムなどを通じた観光需要の創出を狙う。同社にとってホテル事業開始から50周年となる2026年、新たな成長戦略の一環としての決断だ。

観光とコンテンツ産業の融合に期待

 出資先のK2 Pictures社は2023年8月に設立された新興映画会社。「日本映画の新しい生態系をつくる」という理念のもと、2024年5月のカンヌ国際映画祭期間中にファンド設立を発表していた。森トラストの出資による契約締結日は2025年12月26日。

 本ファンドからの第一作となる映画『禍禍女』(まがまがおんな)は2月6日に公開予定。芸人のゆりやんレトリィバァが初めて映画監督に挑戦する作品だ。また、原作・藤本タツキ×監督・是枝裕和のタッグによる『ルックバック』も2026年公開予定となっている。

観光産業の可能性拡大へ

 森トラスト代表取締役社長の伊達美和子氏は「コンテンツ産業は世界的な市場規模も大きく、特に日本のアニメや映画は年々注目されていると感じています。例えば、静岡県伊東市や長野県軽井沢町など当社がホテルを運営するエリアでも、ロケツーリズムが盛んになるなど、コンテンツが観光にもたらす影響が大きくなっています」とコメント。

 同社は全国で都心および地方における国際水準のホテル開発に取り組み、旅行需要の拡大に注力してきた。特に地方ではホテル開発を起点とした観光客誘致や、歴史的建造物の保存・活用による特別な滞在体験の提供に力を入れている。

 「ホテル事業を通じて持続可能な観光産業の価値創出を目指す当社にとって、海外市場への展開を視野に入れ、質の高いコンテンツ制作と業界の人材育成に積極的に取り組むK2 Pictures様の姿勢に共感し、ともに新たな需要を生み出すパートナーとして歩めることを大変嬉しく思います」と伊達氏は述べた。

「日本映画の新たな生態系」構築へ

K2 Pictures代表取締役CEOの紀伊宗之氏は「才能豊かなクリエイターとともに世界市場で勝負したい、そのためには日本映画のファイナンスモデルを世界水準に引き上げる必要があると考え、本ファンドを立ち上げました」と説明。

 「森トラスト様との議論の場をいただくご縁があり、日本が持つ魅力や価値を最大化し、世界市場と向き合っている姿勢に心を打たれ、すぐにパートナーとしてお力をお借りしたいとお願いをいたしました。今回、本ファンドを評価いただき、ご参画が叶ったことはこの上ない喜びであり、大きな手応えを感じています。互いの知見を活かし、日本映画の新たな価値創出を目指してまいります」と期待を示した。

コンテンツ産業の成長に注目

 コンテンツ産業の海外売上は2023年で約5.8兆円に達し、半導体産業や鉄鋼産業の輸出額を上回る規模となっている。経済産業省の「新たなクールジャパン戦略」では、2033年の海外売上高目標を20兆円と設定するなど、中長期的な成長が見込まれる分野だ。

 K2P Film Fund Iはグローバル市場への対応を視野に入れたコンテンツ制作および海外展開を積極的に実施しており、日本の価値や魅力を世界へ発信する役割も期待されている。

森トラスト側は映像コンテンツが制作過程や公開後において、ロケツーリズムなど新たな観光資源として機能することを期待。保有施設のロケ地提供にも協力する意向だ。

 

 
 
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