花垣氏
社会変化に対応する学びの機会と地方創生
観光とは「国の光を観る」ものといわれるが、今こそ子供たちのために観光の役割が期待される。
人口減少、地方の過疎化、気候変動、AIの普及等の技術革新等に伴う社会構造の変化が進行し、子供たちは今後生じるさまざまな激しい変化に対応していかなければならない。
「令和の米騒動」と呼ばれる米の価格高騰も、原因は何か、これまでが安すぎたのか、この現象はこれからも続くのか、国だけでなく生産者や流通業者等のさまざまな見解があり、その解決は容易ではない。
こうした社会的な課題を解決していくにはさまざまな立場や多角的な観点から探究していく姿勢は欠かせない。
文部科学省では、平成29年度から段階的に「学習指導要領」を改訂し、各校に新たに求めたのが「探究的な学習」である。
探究的な見方・考え方を働かせ、横断的・総合的な学習を行うことを通して、よりよく課題を解決し、自己の生き方を考えていくための資質・能力を育成することを目標にする授業である。
「探究的な学習」を「教育旅行」と組み合わせて実施する学校も現れている。
昨年、都内の私立高校からの相談を受けて、米の生産・流通に関する事前学習、福島県に訪問して水稲を大規模に生産している農業法人の講演・視察と3日間の農家泊、生徒間によるふりかえりの機会づくりに関わった。
参加生徒の感想を聞くと、AIによる情報収集では得られない生産者の事情・状況・苦労等を肌感覚として体感し、消費者と生産者の双方の立場で考える等、今回の課題をより自分事にして探究できたようである。
「教育旅行×地域探究」の活動では、訪問地の社会的な課題に向き合っている「地域人材」との交流・対話の機会が欠かせない。地域人材が教材であり、学校が訪れる理由になりえる。
大規模校の活動の場合、1学年200名前後の対応が課題になるが、広域連携を図って、受け入れ先を分散させて取り組む事例もある。
一期一会の交流が子供たちの考え方や進路に影響を与えることがある。私は30年以上、訪問地の家庭で寄宿する「教育旅行民泊」を普及してきた。参加者の中には、受け入れ家庭との継続的な交流(手紙・再訪・結婚式への招待等)、訪問地への観光・移住・就業を図った方もいる。
教育旅行を通じた地方創生。地方にとって「地域の光を観る」展開につながることを期待している。

花垣氏




