北村社長
豊富な経験生かした分析力で支援
日本ホテルアプレイザルは今年8月に会社設立から20年の節目を迎える。
同社は宿泊施設の価値(Value)という、ホテル・旅館オペレーションの「羅針盤」を提供することを通じて、ホテル業界に貢献することを最大の目標に刻苦精励している。
事業内容はホテル・旅館に関するマーケットレポートを皮切りに、不動産鑑定評価、ホテル・旅館に関する各種コンサルティングや、ホテル・旅館に関する書籍出版など広範囲に及ぶ。
特に、数多くの不動産鑑定評価ノウハウと現場を熟知したホテルパーソンの豊富な経験との融合が特徴。ハードウェア、ソフトウェア、ヒューマンウェアの3要素をバランスよく調査・分析し得る組織体制を有している。
社長の北村剛史氏に同社の立場から、ここ数年の宿泊業界の変化と、2025年から2026年の展望について聞いた。
――昨年はどんな1年だったでしょうか。
2025年を振り返ると、観光需要とインバウンドの回復が続き、都市圏を中心に、多くの地域で客室単価が高い水準で推移した1年だったと感じます。
その流れを受けて、新規開業や計画段階のホテル案件も各地で着実に増加し、「どこに、どのようなコンセプトの宿をつくるのか」という議論が一層活発になりました。
一方、昨年はその延長線上にありつつも、インバウンドは依然として増加傾向にありながら、地域やマーケットごとに伸び方や客層の違いがより鮮明になってきていると感じます。
国内旅行についても、単に回数を増やすというよりも、「どこに、どのような体験のためにお金を使うか」が一層選別されるようになった傾向です。こうした状況の中で、「価値を伝えて選ばれる」ことの重要性が、これまで以上に高まっていると考えています。
――近年は宿泊施設ごとに注目されるポイントが変化してきている印象ですが、どのように捉えていますか。
ご指摘の通り施設ごとに注目されるポイントが変化しています。
客室の新しさや立地といった要素が前面に出ることが多かったところから、近年は、地域文化の表現やSDGsの取り組みが、施設を選ぶ上での重要な軸として浮かび上がってきています。各地の宿泊事業者の皆さまと実務の中で対話を重ねる中で、「自分たちらしい地域の伝え方」や、「環境・社会への配慮をどのように具体的なサービスとして組み込むか」といったテーマに、以前よりも明確に関心が向けられていることを強く実感します。

会社ロゴ
――SDGsへの取り組みは社会的にホットな話題ですが。
特にこのSDGsの取り組みは、インバウンド層からの関心が高く、国内でも若い世代を中心に注目が高まってきています。環境保全に加え、地域文化の継承や地元の持続可能性といった要素が「選ばれる理由」として存在感を増している点がポイントです。
スローガンではなく具体的な行動に踏み出している施設ほど、中長期的に見たときに支持が高まっている傾向が見られます。
――今年の展望については、どのようにお考えでしょうか。
2026年を展望すると、「どのような価値を提供し、その対価としてどのように収益を上げていくのか」が、これまで以上に問われる時代になっていくと思います。新規開業が続く地域では競争環境が厳しくなる一方で、自社の強みを言語化し、地域との結びつきや体験価値を磨き続けている施設は、外部環境の変化に左右されにくい土台をつくりつつあります。
2025年、2026年は、宿泊業にとって「量の回復」から「質と持続性の確立」へと軸足を移していくタイミングだと言えます。客室数や単価だけでなく、地域文化の継承をはじめ、環境・社会への配慮や、働く人にとっての魅力といった要素を含めて、自社の価値を見つめ直し、分かりやすく伝えていくことがますます重要になります。
現場の皆さまが日々積み重ねてこられた工夫や取り組みこそが、これからの時代の大きな強みになると拝察します。私自身も学ばせていただきながら、「らしさ」を生かした取り組みが広がっていくことを願っております。
――新春にあたり、読者にメッセージをお願いします。
日本ホテルアプレイザルは宿泊業界の一員として、皆さまとともに業界の発展に取り組んでまいります。
新しい1年が、皆さまにとって価値の再確認と新たな挑戦の年となりますよう、心より祈念申し上げます。

北村社長
■会社概要
【本社】東京都千代田区内幸町1の1の1 帝国ホテル本館5階 515号室
【創業】2006年8月
【事業内容】ホテル・旅館に関するマーケットレポート、不動産鑑定評価、ホテル・旅館に関する各種コンサルティング、ホテル・旅館に関する書籍出版等





