年末には、恒例の「今年の漢字」が京都・清水寺で発表された。2025年の一文字は「熊(くま)」だった。
熊による被害が大きく、11月までで死傷者は230人と過去最大最悪の結果となった。さらには、熊は一般的には冬眠するものと思われていたが、12月の半ばでも積雪の多いスキー場に現れたり、民家周辺に現れている。餌が足りなくてまだ冬眠の条件をクリアできないのかもしれない。
繁華街は忘年会のお客でにぎわう頃に、秋田や岩手では夜に熊と遭遇する危険があると警戒してか、閑散としているというニュース映像も流れた。コロナ禍の時に似ており、「熊禍」と言うらしい。
地元民が飲み歩かない状況なら観光客はなおさら寄り付かない。修学旅行の行き先に「熊は出ないでしょうね」と保護者からの問い合わせも少なくないようだ。いずれにしても熊の動向は観光産業に大きな影響が出ていたり、リンゴや柿などの果樹農家も被害が出ている。熊を収めたテレビ画像がお茶の間に流れ続けた1年であった。
ヒグマの餌を象徴するかのようなサケをくわえる木彫り熊が北海道の土産として知られてきた。そのサケの漁獲量も激減しており、産卵のため河川を遡上(そじょう)する比率も低く、木彫りのようにサケを食べられる機会も減っているに違いない。まさに必死で餌を探しているものと思われる。人間社会とどうすみ分けていくのか、大きな課題を突きつけられたことになる。
新語・流行語大賞に高市早苗自民党総裁(首相)が就任時に「働いて働いて働いて働いて働いてまいります」と言った言葉が選ばれた。
日本人は働き過ぎといわれて久しい。そして今、働き方改革や過重労働が批判されている中で時代に逆行するような発言ともとれる。しかし、官僚は議員の質問に対しての答弁書の作成などで、終電を過ぎてタクシーで帰宅したり、また早朝から出勤したり、徹夜に近い勤務をしている人も少なくないという現実がある。
一方で、OECD加盟国の時間当たりの労働生産性では29位と先進国では最下位に近い。1位のアイルランドの3分の1である。8位の米国は日本の1.72倍、10位のドイツは1.70倍である。また、25年のGDPが発表されたが、1位は米国、2位は中国、3位が日本を抜いたドイツである。そして4位が日本であり、大国インドに迫られている。
ドイツの人口が約8412万人で日本の約3分の2であり、働く時間も短く、GDPは人口比で1.5倍となる。アジアの隣国の財界人が日本を訪れ非公式な場所での発言で本音だと思われるが、日本人がこんなに働かないとは思わなかったと言っている。
労働時間は短く、大変や面倒なことはやらず、リスクを負わず、チャレンジはせず、困難からは逃げて、そして給料はたくさんほしいという。体調を壊したり、死んでは元も子もない。しかし、労働効率と生産性を上げなければ、日本は沈んでしまう。
新年の年頭にあたって、せめてモチベーションやマインドを持つ日本になってほしい。




