ホテルチェーントップ3司と司会の玉井氏
各社の概況や事業戦略を語る
堅調なインバウンド需要に支えられて、2025年の大手ホテルチェーンは好調だった。一方、次々と開業するグローバルホテルブランドとの競争の激化、最も大切な国内旅行客市場への対応など課題も少なくない。三菱地所ホテルズ&リゾーツ代表取締役社長執行役員の大島正也、三井不動産ホテルマネジメント代表取締役社長の杉山亮、オリックス・ホテルマネジメント取締役社長(オリックスグループ執行役員)の似内隆晃の3氏にお集まりいただき、各社の現況や戦略などについて語っていただいた。司会を務めた、立教大学観光研究所特任研究員の玉井和博氏は「各社ともグループにおける宿泊事業の役割とあわせ、今後いっそう、観光立国の礎となる”地域一体”への関わり合いがポイントとなってこよう」と語った。(帝国ホテル東京で)【kankokeizai.com編集長 江口英一】
――各社の事業構成の概要と、2025年がどのような年であったか、トピックスなどをお話しいただきたい。
大島 私どもは三菱地所グループということで、ノンアセットビジネスの領域といわれる部分のホテル運営を担っている。現在23棟5400室弱の規模のホテルチェーンで、その中には25年3月末に休業した横浜ロイヤルパークホテルも含まれる。
一方で26年の1月に那覇、2月に舞浜でホテルの開業を準備しており、2ホテル合わせて1千室程度になる。25年において事業的に大きかったトピックは、やはりフルサービス型ホテルの横浜ロイヤルパークホテルがいったん休館したこと。再開業までの期間が空く中で、どうやって数字を作っていくかというのが大きな課題だったが、おかげさまで、24年から仲間に加わった丸ノ内ホテルや、同年開業した「ザ ロイヤルパークホテル 銀座6丁目」の宿泊主体型ホテルがフル稼働してきたこともあって、なんとか年度の目標としては一定の水準を達成できるのかな、という見込みだ。
那覇については今、宮古島ではホテル運営しているが、沖縄本島では初めてのホテルになる。三菱地所グループとしても沖縄にはこれからも関わっていきたいという中で、先兵を務めるような形になる。また、舞浜については、私どもとしては最大規模となる750室になるので、その規模のホテルをどう運営していくかという課題はありつつも、楽しみにしている。

三菱地所ホテルズ&リゾーツ代表取締役社長執行役員の大島氏
似内 オリックス・ホテルマネジメントは、20年にオリックスグループの運営会社8社を統合して設立した会社だ。会社の設立は、運営施設をチェーン化するという意味では一つの節目だったが、途端にコロナ禍に入り非常に厳しい時期を過ごした。前期にようやく最高益になり、今期はそれを上回る見通しを立てている。
特徴としては、運営する28施設の客室数が約6700室あり、旅館のカテゴリーとホテルのカテゴリーを持つ点が挙げられる。直営で運営している施設に加え、MC(マネジメント・コントラクト)による経営も行っており、ヒルトンやハイアットへの運営委託をしているものもある。
25年の主なトピックとしては、「別府温泉 杉乃井ホテル」の三つの客室棟の新築・建て替え、共用部の改修といった、5年がかりの大規模リニューアルプロジェクトが完了したこと。1月には最後の客室棟「星館」が開業し、約800室の体制での本格運営がスタートした。この3棟の稼働が、今期の収益を大きく押し上げる要因となっている。
また、外資系ブランドへの運営委託施設では、「ウォルドーフ・アストリア大阪」の開業が大きな話題となった。

オリックス・ホテルマネジメント取締役社長(オリックスグループ執行役員)の似内氏
杉山 当社は、国内外の主要都市に約1万室、40ホテルを展開するホテルチェーンで、うち台湾で1ホテルを展開している。宿泊需要の集中する関東圏に21ホテル、京都に7ホテルとかなりの数が集まっているのが特徴だ。また、地方の主要都市にも11ホテルが所在し、お客さまのさまざまな需要に応える基盤がある。
25年の事業環境については、皆さまと同じかと思うが、春先の非常に好調なスタートから夏場を迎え猛暑や地震の風評といった要因によりマーケットは様相が変わり厳しい状況であった。ただ、秋以降、需要は戻っており、通年業績として夏場の分は取り返せる見込みであるが、国際情勢は刻々と変化しており、今後の影響は注視が必要と感じている。
25年は仙台・札幌の2物件でのリニューアルを実施し、今後岡山でも予定している。現在、台湾の松山空港近くで新規開業を予定しているほか、27年春には大阪の堂島浜での開業を控えている。

三井不動産ホテルマネジメント代表取締役社長の杉山氏
――各社のホテルのカテゴリー分けについて、今後どのように進めていくかお考えをお聞きしたい。

司会の玉井氏
大島 三菱地所ホテルズ&リゾーツとして有するカテゴリーは、フルサービス型といわれているのが仙台および東京・日本橋と休館中の横浜で、その他はいわゆる宿泊主体型のホテルとなる。今後も展開としては、宿泊主体型のアッパーアップスケールからアップスケールまでのカテゴリーを広げていきたい。加えて、数年後になるが再開する横浜ロイヤルパークホテルはマリオット・インターナショナルと組むことになるので、ここは一段、私どもが今まで取り組んだことがないラグジュアリーというカテゴリー層に踏み込んでいく。
――ロイヤルパークホテルの「アイコニック」と「キャンバス」のレベル差は。
大島 アイコニックは、機会があれば大都市に一つずつ出すような形で考えている。キャンバスは、機会があれば同一都市の中に複数出すこともあり得ると考えている。そこでカテゴライズするイメージだ。
――オリックスは、自社ブランド化を進めたいというお話があったが。
似内 私たちは19年に事業ブランド「ORIX HOTELS & RESORTS」を立ち上げ、現在は5ブランド14のホテル・旅館を、自社ブランドとして展開している。旅館のラグジュアリーカテゴリーでは「佳ら久(からく)」というブランドを5年前に立ち上げ、箱根の強羅と熱海の伊豆山で運営をしている。アップスケールカテゴリーには「はなをり」というブランドがあり、この二つを旅館の直営ブランドとして伸ばしていく。
ホテルでは、「クロスホテル」が大阪、京都、札幌にあり、これを他の大都市圏へも拡大したいと考えている。宿泊特化型では「クロスライフ」というシスターブランドを福岡で2館展開している。これに加えて、ご家族やグループで泊まれるようなアパートメントホテルタイプの「クロススイーツ」という新ブランドの1号店を、26年の夏に浅草で開業する予定だ。
――三井不動産グループの中での三井不動産ホテルマネジメントの役割とブランド展開は、どう切り分けているのか。
杉山 三井不動産グループの中で、当社は宿泊主体型ホテルを運営。リゾート、ラグジュアリーカテゴリーは三井不動産リゾートマネジメントなどの別会社が担っている。当社としては、基本的には宿泊主体型でやっていくという考えで、「三井ガーデンホテルズ」(34ホテル)、「ザ セレスティンホテルズ」「sequence」(各3ホテル)の3ブランドを展開している。三井ガーデンホテルズの中でも「三井ガーデンホテルプレミア」のような、ややアップスケールカテゴリーのブランドが成長してきている。
――拡大するインバウンド市場への対応と、国内市場をどう捉えていくかについてはどうか。
似内 現在、私たちの施設のインバウンド比率は約3割。期初の計画では4割程度を見込んでいたが、夏の地震に関するうわさや猛暑による影響で想定よりも低く着地しそうだ。来期の計画としては約5割まで引き上げる予定。インバウンド3割のうち約6割がアジア圏で、欧米豪が約3割、その他が約1割。今後は、開拓途上の欧米豪市場をターゲットに、営業を強化していく。
一方、国内客が多くを占める杉乃井ホテルや、旅館コレクションの施設に関しては、引き続き国内マーケティングに注力していく。エリアや施設の特徴によりバランスを見ながらやっていく必要がある。
杉山 当社も入国者数の伸びとともにインバウンド比率は高まっている。国内全体で昨年はおよそ6割程度だったものが今年度はプラス5%ほど増え、中でも東京は8割超、特に当社が多く展開する銀座ではおよそ9割がインバウンドのお客さまで構成されている。
今後としては既存のお客さまに加え、欧米豪を中心としたインバウンドの裾野の広がりに応じてお客さまを獲得していきたい。
国内に関しては、正直なかなか取り切れていない。ただ、国内レジャーの方々が東京、大阪、名古屋だけに集中せず全国に分散していただけると、ハブとなる主要都市にある当社ホテルにお泊まりいただける形になる。そのための自社会員施策は積極的に進めていきたい。会員数は現在120万人ほどに増えてきており、有効にアプローチしていきたい。
大島 私どもも、コロナ禍が明けて以降はインバウンド需要に頼った施策を採ってきた。エリアによる強弱はあるが、例えば銀座エリアであればお客さまのほとんどは外国の方々だ。
酷暑による夏場の落ち込みや地政学リスクを踏まえた時に、国内のお客さまに対する在り方は社内的には議論になるが、なかなか今は具体案が打ち出せていない。一定数の規模を持つ会員組織があるので、国内の会員の方に少しでもリピートしていただけるよう施策を打つことで、比率を高められれば、というのが正直なところだ。
――海外へのPR戦略で、考えていることはあるか。
似内 今までは国内向けで手いっぱいだった。まずは、自社の英語サイトをきちんと構えることから始めている。また、GDS(Global Distribution System)の予約システムも完全につなぎきれていないため、そこを整えた上で、どのようなプロモーションを仕掛けていくのかをまさに今検討しているところだ。
大島 これまではセールス部隊が台湾へは直接セールスに行っていたが、最近は観光庁などの公的な組織のイベントでオーストラリアに行く機会もあり、少しずつ施策の幅を広げている。
杉山 当社も東南アジアには直接スタッフを派遣し営業を行っているが、北米、ヨーロッパには直接営業活動ができていなかったので、今後は強化していきたい。そのエリアに強いOTAやランドオペレーターとのタイアップ、そのエリアのお客さまの好みに合わせた動画や写真の掲載など、自社サイトの多言語対応とあわせて戦略的にやっていくことが必要だと考えている。
――国内で急増するグローバルブランドホテルへの対応については、どうお考えか。
杉山 今まで外資ブランドホテルというと、基本的にはラグジュアリーホテルの進出がメインで、われわれとの直接の競合は少なかったが、今はアッパーアップスケールからミッドスケールまでまんべんなく進出しており、競争が激化していくことが予想される。
当社としては、外資ブランドホテルの良いところ、効率的な運営や世界の潮流を捉えたデザインなど学ぶべきところは学び、日本のホテルチェーンとしての良さ、おもてなしをサービスの前面に出して差別化していきたい。例えば、ロビーで日本舞踊を定期的に披露したり、イベントに合わせて浴衣や着物でお迎えしたりと、日本らしさを感じていただける取り組みを頻繁に行うことで差別化を図っていきたい。
大島 杉山さんの話とも重なるが、以前はラグジュアリーが先行していたのに対し、今は私どもの主要ブランドと同じような宿泊主体型のラインをどんどん展開されているので、本当にライバルとして戦っていかなければいけない。
一方で、昨今の横浜の例でいうと、ウェスティンに代表されるような外資系ホテルが開業したことで、これまで横浜にほとんどいらっしゃらなかった外国の方が来てくれるような土壌が育まれているように感じており、マーケットが広がるという意味では歓迎すべき部分もある。各地方都市が一生懸命外資系ブランドを誘致しているが、横浜でも実感として外国の方が増えてきた気がする。
似内 グローバルブランドが地方の都市まで進出してきている現状はプラスに捉えている。もちろん競争も激しくなるが、地域の活性化がない限り、宿泊施設の運営は成り立たない。グローバルブランドが入り、そのグローバルベースの会員が地域を訪れることは良い流れだと思う。
国内ブランドのホテルがグローバルブランドとどのような差別化を図っていくのかというところに尽きる。地域ならではの食事や体験など工夫できることはたくさんあると思う。各ホテルが地域とつながって切磋琢磨し、地域の情報発信機能をホテルが担うことで、地域の良さを知ってもらう。これにより、地域の観光需要を増やす。単一施設ではパワー不足。脅威と捉えるのではなく、共に地域一体で盛り上げていきたい。
――外資系のブランドと組むことについてはどう考えているか。
杉山 三井不動産グループとしては、すでにフォーシーズンズやマリオットグループなどと連携しているが、現時点では三井不動産ホテルマネジメントとしての連携は考えていない。
似内 私たちはビジネスパートナーとしてすでにヒルトンやハイアットとの良いリレーションシップがあり、多くを学ばせていただいている。自社ブランドとグローバルブランドそれぞれの利点を理解し、実践できるのが当社の強みでもある。正直、グローバルブランドであってもマーケティング施策で失敗すれば、集客に苦戦もするし、オペレーション面においては、日本のオペレーターも外資と同等にあるいはその水準以上でしっかりやっている施設もたくさんある。グローバルブランドで取り組むものと直営のものと、エリアやホテルタイプによって最適なブランドを選択していきたい。
大島 ロイヤルパークホテルズは今まで自らのブランドで運営してきた中、今回、横浜がさまざまな事情から外部の力を借りるという選択肢をとった。今後も、大規模改修などで建物オーナーさまに投資負担いただく時に、われわれ自身のブランドによる収益で賄えるのか、もしかしたら外資系ブランドの力を借りた方が一時的には事業性が高まるのではないか、という話はまた出てくると思う。
――オーバーツーリズムや地方活性化に対する宿泊産業の役割についてお聞きしたい。
大島 先日、京都の朝の通勤時間の電車に乗ったが、通勤通学の方に混じった観光客の方もずいぶん多く、現地の方にとっては負担になっている部分は大きいと感じた。これはホテル単体でできることではないが、まだ外国の方がいらっしゃっていないようなところに、行政なりと組んで私どもが宿泊施設を出していくことで、特定の観光都市に集中している状況を分散できる可能性はある。
当社グループとしては空港の民営化にも取り組んでいて、地方空港の活性化をどうするか、というのも大きなテーマになっている。それに合わせてホテルの進出も、という議論が深まるのではないか。
似内 オーバーツーリズムは観光客を分散させない限り解決しない。そのためには、地方の交通インフラの整備が重要になる。海外から地方空港への直行便を増やすことや、物流業界でいうラストワンマイルの問題と同様に、観光業でも地域内のタクシー、バスや代替えの移動手段を十分に配備することが必要だ。
地方活性化については、21年から各施設に地域共創の専任担当を配置し、行政や地域の商店などと連携してプラン造成をしている。エリアの魅力を宿泊事業者サイドが発信していく必要性を感じている。繰り返しになるが、重要なことは、エリアの関係者が協調して消費者に発信していく仕組みを作ることだ。行政が中心的な役割になるのかもしれないが、地域の皆で活発な議論をして、プロモーション戦略の軸を決め、中長期で予算化してプランニングしていくべきだと考えている。
杉山 オーバーツーリズムについては、まずマナーやルールの周知が大事だと考える。そこにお住まいの方々の生活時間と波動をずらして行動してもらう、といった提案もその解決策の一つだ。お二方がおっしゃった通り戦略的に分散化を図ることが必要だ。そのためには地方独自の魅力を発信し、しっかりと伝えていくことが不可欠だと思う。
例えば、その地方ならではの食の魅力や、食事のあとの夜の過ごし方を具体的にSNSなどで発信し、知っていただくことだ。こうしたことが、その地方に「泊まる理由」につながっていく。そうでないと素通りされてしまう。
――何かしらの規制は必要だとお考えか。
似内 オーバーツーリズムの解消、対策という面ではルールを作る必要はあると思う。インバウンドの方々は自由に観光をするので、一定の規律を定めて、ルールを守って楽しんでいただくということは必要。
杉山 ものすごく人が集まるところは、料金を徴収するとか、二重価格にするなども一つの手だと思う。宿泊税については、集中するお客さまからお金をいただき、それをプラスの方向に使うことについては一定の理解はできる。しかし、宿泊税を導入する場合には、そのエリアの住民の方々や観光・ホテル業に有益となるような使い方を明示してほしい。
――宿泊施設が地域の核になるという視点でのビジネスモデルは。
杉山 ホテル単独で地域の核となるのは正直難しいと思う。しかし、ホテルにはさまざまな目的でその地域に来訪されたお客さまが集まる。その来訪ニーズを行政や地域の方々に共有することにより、地域活性化をサポートすることはできると思う。
大島 東京・日本橋のロイヤルパークホテルでは、日本橋エリアのお店とクーポンを出し合っており、街の活性化にも役立ちたいと考えている。一方で、観光資源が私有財産になっている場合も多く、そういった場合に個人の方とどう組んでいくかは、行政が一定程度ルールを設ける姿勢を示していただかないと難しい。
――事業展開の形態としては、今後はどう考えているか。
杉山 当社の事業形態は、引き続き親会社からの転貸といったスキームが主になる。今後についても、宿泊主体型を志向し、自社ブランドをしっかり育てていく方針だ。プレミアを含めた三井ガーデンホテルブランドを核とし、さらなる拡大を目指していきたい。セレスティン、シークエンスの2ブランドも、しっかりとしたブランドとして確立していきたい。
大島 基本的には建物オーナーさまにホテルを建てていただき、親会社である三菱地所がマスターリースした上で私どもが転貸を受ける形がベース。今後は、オーナーさま宛てに、われわれのブランドをお貸しするフランチャイズ方式による事業展開等もできればいいと考えている。そのためにもブランド力を磨かなければいけない。
――人材育成、特にミドルマネジメント層についてはどう考えているか。
似内 チームが持続的なパフォーマンスを発揮するためには、ミドルマネジメント人材のレベルアップが必要と感じている。若い人たちのモチベーションをどう高め、どう導くかというスキルを、今、私たちは必要としている。現場では、人の気持ちをきちんと受け止め、指導し、背中を押してあげられるリーダーが不足している。そこをいかに育成していくのかが、私たちの組織にとっての大きな課題と感じている。
杉山 チェーンホテルの基盤として、バランスの取れた人財育成に取り組みたい。そのために成長する機会と環境を整えていきたいと思っている。まずは現場を経験を積み、その上でセールス、レベニュー、マーケティングといった業務を経験することでホテリエとしてのトータルの力がついてくる。そうした育成ルートを整えていくことが必要と考えている。
大島 われわれの課題として、マネジメントを担う次の層の育成が挙げられる。時代の潮流にあった教育研修をしっかりと行い、目指すキャリアを可視化できるようにしてあげなければいけないし、待遇の部分も上げていかなければ成り立たない。コロナ禍から回復し、その部分に今やっと注力する余裕が出てきたというのが正直なところだ。
――ESG経営への対応について一言ずつお願いしたい。
杉山 脱プラスチックやごみの削減につながるアメニティ・包材の選定を進めている。コストはかかるが、持続可能な社会に向けてはどちらも避けられない問題である。また、「だれひとり取り残さない社会」を目指し、ホテルロビーで開催している「ハッピースマイルアート」(障がい者アート展)にも力を入れており、今年で5年目を迎えた。コンプライアンスの徹底、ハラスメントの撲滅にも、最優先課題として取り組んでいきたい。
似内 グループ全体でCO2削減に取り組んでいる。私たちの事業では、プラスチックやゴミの削減に加え、他社との共同配送も始めている。1社ではできることが限られるので、ホテル運営事業者各社が力を合わせて、効率化や環境負荷低減に向けて取り組む必要がある。
大島 フードロスは何とかしなくてはいけない。業界としてさまざまな取り組みをしているが、まだ足並みはそろえられていない。当社では、「残さない」ことに注力しており、ブッフェ形式のレストランやご宴席での提供方法を工夫したり、ご宴席では主催者側のご理解を仰ぎながら「3010運動」を推奨しているが、環境に配慮した取り組みは引き続き重要な経営課題の一つである。
――最後に、2026年はどのような年にしたいか。取り組みと抱負についてお話しいただきたい。
似内 観光産業は典型的な”平和産業”であり、平和な時代が長く続いてほしいと強く思う。インバウンドが増える前提で考えれば、来期も順調に業績を伸ばしやすい環境ではあると思う。中長期的な目標としては、現在約6700室の客室数を1万室まで増やしていく。建築費の高騰により新規開発のスピードは鈍るので、リノベーションやリブランド案件にチャンスを見いだす必要がある。他のオーナーさまから運営を任せていただく「運営受託」のビジネスを活発化させていきたい。
そしてホテル運営事業の一番の肝は人。マネジメントクラスのレベルをもっと引き上げたい。ネクストリーダーを輩出できる仕組みを整えているところだ。オペレーション面では食。24年4月にコーポレートエグゼクティブペストリーシェフとして鈴木一夫氏を迎えた。デザート分野でレベルアップを図り、お客さまに訴えかけていきたい。
杉山 25年は、予期せぬ要因によりマーケットに大きな変化がみられた年であった。情報を早くつかみ、柔軟に素早く動くことが非常に重要だと痛感した年でもあった。26年はその変化を見逃さず、臨機応変に対応していくことをモットーに挑戦していきたい。現在のニーズにマッチさせるべく、既存ホテルはリニューアルを実施していき、27年の新規ホテル開業につなげていきたい。
大島 円安傾向が続きそうなので、継続的にインバウンドの方への期待がある。一方で、課題はやはり人材の面であり、グループチェーンとしての人の強みにまだ凸凹がある。そこを平準化し、次につながる人材をどう輩出していくかが重要であり、そのためには待遇面も強化しなければいけない。
個別のプロジェクトでは、1、2月に那覇と舞浜でホテルができるので、それにまずは注力する。また、4月以降アパートメントホテル事業にも進出できればと考えている。
――本日は多岐にわたりご意見をいただき、ありがとうございました。




