これは事実である。SEOはここ数十年で最も大きな進化の局面を迎えている。旅行者が予約のためのリサーチに人工知能(AI)アシスタントを使うようになるにつれ、ホスピタリティおよびホテルのマーケターは重要な問いに直面している。従来の検索結果だけでなく、AIが生成する回答の中に、自社の施設をどのように表示させるか、である。
私たちは、独立系ホテルから大手ブランドのポートフォリオまで、幅広いホテルパートナーと協業しており、業界全体で検索行動がどのように変化しているかを俯瞰できる立場にある。この多様なポートフォリオ全体で見えているデータは、旅行者が宿泊施設を発見する方法が根本的に変わりつつあることを示している。
2024年後半以降、ChatGPTのようなAIソースからホテル公式サイトへ流入するトラフィックが、月次で一貫して増加していることを追跡してきた。AI経由のトラフィックは、現時点では全体の訪問数に占める割合はまだ小さいものの、規模やブランド属性を問わず、あらゆるホテルにおいて成長の可能性が明確に見て取れる。
一方で、従来型の検索については減少傾向も見られる。ブランド公式サイトにおけるオーガニック検索トラフィックは、前年同期比で顕著な減少を示しており、これは「ゼロクリック検索」に関する業界全体の調査結果とも一致している。ゼロクリック検索とは、ユーザーが検索結果画面内で必要な情報を得てしまい、サイトをクリックしない現象を指す。
最近の調査によれば、Google検索の約65%はクリックに至らずに終了している。モバイルユーザーに限ると、その割合は約78%に達する。GoogleやAIアシスタントが検索インターフェース内で包括的な回答を提示する場合、ホテル公式サイトへ至る従来の導線は断ち切られてしまう。戦略上の要請は明確だ。旅行者がクリックしないのであれば、ホテル自身がAI生成の回答の中で目立つ形で取り上げられなければならない。
新たなフロンティア:GEO
こうした変化を受けて登場したのが、Generative Engine Optimization(GEO)である。GEOの中心は、AIが生成する回答そのものの中で「引用・言及される」ことにある。たとえば旅行者がAIアシスタントに「朝食付きで、ディズニーランド近くのファミリー向けホテル」と尋ねた際、その会話形式の回答の中に自社の施設名が含まれることが目標となる。
GEOの仕組みは、従来のSEOとは大きく異なる。AIアシスタントを支える大規模言語モデルは、単にウェブサイトをクロールするだけではない。レビューサイト、ローカルリスティング、ニュース記事、ソーシャルメディアなど、無数の情報源を統合・要約している。つまり、ホテルのAI上での可視性に影響を与える要素は、自社が保有するデジタル資産の枠を大きく超えている。
その影響は重大である。これまで評判管理の観点で重要だったサードパーティレビューは、今や発見性そのものに直結する要素となった。宿泊客の一つひとつのレビュー、ローカルブログでの言及、各種ディレクトリへの掲載が、AIモデルがホテルをどのように理解し、表現するかを形づくる。
この「圧縮」は、初期段階での可視性をこれまで以上に重要なものにしている。AIの回答に表示されなければ、ウェブサイト最適化がどれほど優れていても、検討対象にすら入らない可能性がある。また、AIとのやり取りは会話型であるため、旅行者は追加質問を通じて条件を絞り込んでいく。「Nashvilleのホテル」と尋ねた後に、「ライブ音楽が館内で楽しめるのはどこか?」と続ける、といった具合だ。複数のプラットフォームにわたり、豊富で詳細な情報を持つホテルほど、こうした段階的な質問の中で表示されやすくなる。
重要なのは、GEOがSEOに取って代わるものではない、という点である。むしろ、それを拡張するものだ。サイトパフォーマンス、質の高いコンテンツ、技術的な最適化、戦略的なキーワード設計といった基本は、今なお不可欠である。GEOはその基盤の上に成り立ち、検索エンジンのクローラーだけでなく、旅行者の調査を仲介するAIモデルにも発見されることを目指す。
現時点での課題の一つは、GEOを測定するツールがまだ発展途上にあることだ。SEOには、順位やコンバージョンを追跡できる成熟した分析プラットフォームが存在するが、AI上での可視性を測るツールは、ようやく登場し始めた段階にすぎない。業界には強固な測定手法が必要だが、完璧な指標が整うのを待ってから最適化に着手する余裕はホテルにはない。
次のステップ
では、これからどうすべきか。AIの進化のスピードは衰える気配を見せていない。情報の取得や引用の方法が異なる新しいプラットフォームが次々と登場し、検索エンジンも生成AI機能の統合を進めている。ホテルマーケターにとって、この環境は即時の対応と継続的な適応の両方を求めている。
ホスピタリティ・マーケティングの本質は変わらない。ゲストがいる場所を理解し、そこで出会い、魅力的な物語を伝えることだ。チャネルやフォーマットは進化しても、この中核的な使命は揺るがない。従来の検索とAIによる発見の双方を包含するデジタル戦略へと適応できたホテルこそが、旅行者がどのような方法で検索しようとも、選ばれる存在となる。
著者について
Eric Ettlinは、Ambridge Hospitalityのホテルパートナー向けインハウスマーケティングエージェンシーであるSecond Waveのマーケティング担当VPである。
【出典:Phocuswire 翻訳記事提供:業界研究 世界の旅行産業】




