秋田新幹線は大曲駅を出ると雄物川沿いを離れ、北へと迂回(うかい)し峠を越えます。羽後境、大張野という情緒のある駅を通過し、秋田平野へと進みます。
この区間が大回りなので、短絡する新線を建設しようという動きが出てきました。秋田商工会議所が、短絡ルート建設構想を明らかにしたのです。線路が迂回している峰吉川―四ツ小屋間に、新線を建設するよう提案しています。
短絡ルート上に秋田空港があるため、空港地下に新駅を建設することで、新幹線と空港を直結できます。つまり、単なる短絡ルートではなく、いわば「秋田空港新幹線」を作ろうという構想といえます。
現在、秋田空港からの公共交通はリムジンバスだけで、秋田市内まで約40分かかります。秋田空港に新幹線の新駅ができれば、空港から秋田駅まで「こまち」で20分程度に短縮できそうです。
それだけでなく、現在、空港からバス路線がない大曲や角館も新幹線で直結します。秋田県南部の空港アクセスが改善し、とくに観光面で好影響を及ぼすことは確かでしょう。
現時点では、地元経済団体が提言をしただけの段階で、実現に向け動き出したとはいえません。言うまでもありませんが、実際に建設するには相当に高いハードルがあります。
新線を直線に近い形で建設する場合、距離は16キロ程度です。キロあたり建設単価を100億円と仮定すれば、事業費は1600億円。簡単に投資できる金額ではありません。
また秋田新幹線は、東京―秋田間で飛行機と競合しています。秋田空港のアクセスを新幹線で改善することは、JRからみれば「敵に塩を送る」ことになります。したがって、JRが前向きになるとは考えづらく、費用負担に大きな期待はできません。
ただ、当該区間は、新幹線の基本計画区間に該当します。政府は25年の「骨太の方針」で、基本計画区間を含む幹線鉄道ネットワークについて、高機能化する方針を掲げています。
短絡ルートを整備すれば、秋田新幹線の高速化が実現できますし、空港直結により利便性向上も実現できます。つまり、「高機能化」という国策に沿うプロジェクトです。
ならば、「秋田空港新幹線」は、案外、実現可能性があるかもしれません。
新年は夢のある話からスタートしました。今年もよろしくお願いします。
(旅行総合研究所タビリス代表)




