「英知」と「決断」問われる一年
昨年4~10月に開催された「大阪・関西万博」は、日本経済に久々の熱気をもたらした。来場者の飲食や購買、宿泊を中心に消費は大きく膨らみ、経済波及効果は関連事業費を含め3兆円を超えるとの試算もある。
首都圏や中国、九州エリアからの長距離輸送を担った東海道・山陽新幹線は、その盛り上がりを支えた立役者だ。JR東海とJR西日本は会期中、大きなトラブルもなく安全・安定輸送を完遂し、万博の成功を後押しした。
開幕前にはさまざまな不安が語られたものの、ふたを開ければ来場者数は日ごとに増え、会期中の一般来場者は2500万人超に上った。海外旅行の疑似体験、先端技術との出合い、そして〝エモキャラ〟へと進化した公式キャラクター「ミャクミャク」の存在が、人々を会場へと誘(いざな)ったのかもしれない。
万博のにぎわいが静まり、新たな年が幕を開けた今、55年ぶりに大阪で開かれた国際博が日本、そして交通業界に残したものとは、社会一体の成功体験、交通連携の必然性、それとも……。いずれにしても、そこで得た知見や経験をレガシーとして次代へつなぐことこそ、最も価値ある営みとなる。
交通業界に目を向けると、万博効果に加え、国内旅行の回復と旺盛なインバウンド需要が重なり、旅客輸送はコロナ禍前を超える勢いを取り戻した。新幹線や都市部の主要路線は好調に推移し、JR各社は業績予想を上方修正する動きも見せた。
一方で、インフレ、資材高騰、人件費増、老朽設備の更新といったコスト増が重くのしかかり、運賃改定に踏み切る事業者も現れている。持続可能な事業運営と安全・安定輸送の維持のため、コストを適正に収益へ反映させる流れは、今後さらに広がるだろう。【記事提供:交通新聞】
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