2025年の観光業界は大阪・関西万博などで活発な動きを見せた半面、日中間の対立がインバウンド市場に影を落とした。26年の干支(えと)は60年に一度巡ってくる「丙午(ひのえうま)」という稀有(けう)な年である。太陽のような明るさと行動力を象徴する年といわれ、業界にとって言葉通りの年となることを願う。四つのキーワードを取り上げ、記者の独断と偏見で見通した。
トラブル解消へ、法見直し必要
訪日外国人の増加に伴い宿泊施設が逼迫(ひっぱく)するなかで、宿泊希望者の受け皿となっていた民泊。最近はトラブルが相次ぎ厳しい目が注がれており、その在り方が問われている。
ホテルの宿泊費高騰もあってか、最近では外国人ばかりではなく、日本人旅行者の中にも民泊を利用する人が増えてきているようだ。民泊は宿泊施設の新たな形態として一定の役割を果たしているが、利用者による騒音やごみ出しなどを巡って近隣住民とのトラブルもまた目立っている。
「帰った後はそこらじゅうにごみが散乱し、後片付けが大変。ごみも勝手に出し、近隣の人から苦情が出た」と話す貸し手もいる。ルールを守るよう呼び掛けているが、なかなか徹底しない。身勝手な振る舞いは一部の利用者に過ぎないのだが…。
東京都豊島区では民泊規制を厳しくする条例が成立、12月16日から適用された。条例では、営業期間をこれまでの年180日から120日に減らすとともに、事業者への罰則規定を定め、違反した場合、5万円以下の過料を科す。
また、神奈川県鎌倉市は、民泊を始める事業者らに向けたガイドラインを作った。事前相談、周辺住民への事前周知、自治会に緊急連絡先を伝えるなどして、トラブルの未然防止を呼び掛けている。民泊のごみは事業ごみにあたり、家庭ごみの集積所に出すと不法投棄になるとも警告している。
国家戦略特別区域法に基づく「特区民泊」については、大阪市が新規の申請受け付けを今年5月で取りやめることが話題となった。また、すでに営業許可を受けながらもトラブルを起こしている悪質な事業者の認定取り消しを想定したマニュアル「行政処分等取扱要領」を新たに制定、従わない場合は厳しい処分を科す方針だ。
民泊に対する規制強化でトラブルが減るのを期待したいが、一方で届け出のない「闇民泊」が増えるのではないかとの懸念もある。闇民泊が横行するとルールは全く守られないので、事態はより深刻化する恐れもある。
暮らしの安心を守る視点から、国や自治体は民泊や簡易宿所を巡る制度の見直しを進めるべきではないだろうか。
【内井高弘】




