2025年の観光業界は大阪・関西万博などで活発な動きを見せた半面、日中間の対立がインバウンド市場に影を落とした。26年の干支(えと)は60年に一度巡ってくる「丙午(ひのえうま)」という稀有(けう)な年である。太陽のような明るさと行動力を象徴する年といわれ、業界にとって言葉通りの年となることを願う。四つのキーワードを取り上げ、記者の独断と偏見で見通した。
登録へ、さらなる機運醸成を
国の文化審議会は11月28日、「温泉文化」をユネスコの無形文化遺産への新規提案候補に選定した。「神楽」も同時に選定し、「ユネスコによる審査の優先順位を『神楽』『温泉文化』の順とする」とした。神楽は2028年、温泉文化は30年に審査の上、登録の可否が決まる見込みだ。登録を目指す温泉・観光団体は最短とされる28年の登録を目指し、活動を進めていたが、国内の候補に無事選定されたことを素直に喜びたい。
無形文化遺産への登録は、日本では08年の「能楽」「人形浄瑠璃文楽」「歌舞伎」を皮切りに、24年の「伝統的酒造り」まで、23件が登録されている。日本からの登録は諸外国に比べて件数が多いため2年に1件とされ、次の登録は26年。既に「書道」が候補として決定している。神楽はその次、温泉文化はさらにその次の候補となる。
温泉文化のユネスコ登録への機運が高まったのは19年6月25日。日本温泉協会の会員総会で会員提出議題として温泉文化のユネスコ無形文化遺産への登録を目指す議案が全会一致で承認された。
以降、22年11月11日は自民党、公明党の国会議員が「『温泉文化』ユネスコ無形文化遺産登録推進議員連盟」、同年11月21日は17道県が「『温泉文化』ユネスコ無形文化遺産登録を応援する知事の会」を設立。23年4月24日は全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会、日本温泉協会、日本旅館協会が民間の推進組織として「『温泉文化』ユネスコ無形文化遺産全国推進協議会」を設立した。
協議会は候補への選定、登録に向けて機運を高める運動を展開。100万筆を目標とした署名活動を進め、リアルとオンライン合わせてこれまでに約67万筆を集めた。
昨年7月29日はユネスコへの登録に必要な温泉文化の「保存団体」として「『温泉文化』国民会議」が発足。同じく登録に必要とされる温泉文化の「定義」も有識者により定められた。
今後は国が今年3月までにユネスコ事務局へ提案書を提出。30年12月ごろ、ユネスコ無形文化遺産保護条約政府間委員会で審査の上、登録の可否が決まる見込みだ。
協議会の青柳正規会長は「当協議会としては、登録に向けて引き続き国内外の機運を高めてまいります」とコメント。登録を確かなものにするために、関係する団体、事業者は、さらなる機運醸成と、その文化的価値をさらに高める努力が必要だ。
【森田淳】




