2026年旅行トレンド「自己表現」へ進化 Booking.com、「超個別化」時代を発表


ブッキング・ドットコム日本代表のLuiz Rodrigues(ルイス・ロドリゲス)氏

 ブッキング・ドットコムは11月20日、「2026年 旅行トレンド予測発表会」を開催した。同社が世界33カ国・約2万9,000人の旅行者を対象に実施した調査から導き出した2026年の旅行トレンドテーマは「The Era of YOU – あなた自身の時代」。現代の旅行は単に有名観光地を訪れることではなく、自身のアイデンティティを体現する「自己表現」の手段へと進化しているという。

「推し活」と「美容」で見る個別化された旅

 発表会ではブッキング・ドットコム日本代表のLuiz Rodrigues(ルイス・ロドリゲス)氏が2026年の旅行トレンド予測10選を発表。「旅行業界は世界のGDPの約10%に貢献し、世界中で10人に1人が関連職に従事するなど、世界最大の経済部門の一つとして重要な地位を占めています」と述べた。

 ロドリゲス氏は旅行業界の変化を形作る4つの主要要素として「マクロ経済」「規制環境」「ソーシャルメディアによる消費者行動の変化」「生成AIの急速な普及」を挙げた。特に生成AIについては「すでに業界に大変革をもたらしており、旅行者はこれを活用することで、従来の画一的な標準プランではなく、自身の関心に最適化された極めてユニークな旅程を組むことが可能になりました」と説明した。

 発表後のパネルディスカッションには、エンタメ社会学者の中山淳雄氏と資生堂ヘアメイクアップアーティストの小林太郎氏が登壇。「エンタメ(推し活)」と「美容・ウェルネス」の観点から、2026年の旅行トレンドについて議論した。

エンターテインメント業界でも「超個別化」の潮流

中山氏は「長年アニメやゲーム業界に携わっており、現在は『クールジャパン』再起動に向け、コンテンツとインバウンド観光をどう掛け合わせ、市場を盛り上げていくかという活動に注力しています」と自己紹介。エンターテインメント業界においても「超個別化」現象が起きていると指摘した。

 中山氏は2017年から2019年を大きな分岐点と分析。「幼少期からスマホやSNSに親しんだZ世代が社会人になり始め、『推し活』を通じた消費行動が顕著になった時期です」と説明した。さらに「本来であれば10年ほどかけて定着すると思われたこうした消費トレンドは、コロナ禍によって劇的に加速しました」と述べ、「テレビから配信へ」という視聴スタイルの変化が前倒しで実現したと分析。この急速なデジタルシフトと「推し活」の熱量が、現在の旅行・インバウンド需要にも大きな影響を与えていると指摘した。

 これに対しブッキング・ドットコム日本・東日本統括部長の信濃伸明氏は「私自身も『推し活』を積極的に楽しんでいる一人です」と述べ、「ライブそのものが楽しいのはもちろんですが、ファン仲間と一緒に現地へ行き、その土地の美味しいものを食べたり、地元の名所を見て回ったりすることも含めて『推し活』の醍醐味」だと語った。

美容界でも進む「超個別化」の流れ

 資生堂ヘアメイクアップアーティストの小林太郎氏は、「美肌&ウェルネス・ビューティーテック旅(Glow-cations)」を含む2026年の旅行トレンドについて、美容の観点から解説した。

 小林氏は「ヘアメイクの世界でも『超個別化』は大きな潮流となっています。これは一過性のトレンドではなく、数年前から続く消費者の嗜好の多様化によるものです」と指摘。現代の消費者は「自分には何が合うのか」「自分が本当に求めている美容は何か」を知ることを強く求めており、この欲求が自分に必要な美容や癒しを探求する「超個別化された旅」と深く結びついていると説明した。

 発表会の会場には「The Era of YOU – あなた自身の時代」と「旅行トレンド予測」10選を具現化した特別展示エリアも設けられ、来場者が未来の旅のスタイルを「空間」として体験できるようになっていた。

ブッキング・ドットコム日本代表のLuiz Rodrigues(ルイス・ロドリゲス)氏

 

 
 
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