JTB総合研究所は12月17日、「スマートフォンの利用と旅行消費に関する調査(2025)」の結果を発表した。情報検索の方法として生成AIが昨年の9.7%から28.8%へ約20ポイント急上昇。存在感を増している。調査では旅行予約のスマホ利用が7割に達し、eスポーツのプレイ・観戦経験者も過去最多になるなど、デジタル消費の動向が明らかになった。
検索から相談へ、情報収集の行動変化
調査結果によると、スマートフォンでよく使う機能は従来主流だった「メッセージ・チャット」「メール」「ニュース」「カメラ」「電話」などが軒並み減少。一方で「動画や画像投稿サイト」「テレビ・映画」などの映像コンテンツ系が増加した。
情報検索の方法については、生成AIが昨年比約20ポイント増の28.8%で急上昇。JTB総合研究所は「これまでの『検索する』情報収集から、生成AIに『相談する』行動に大きくシフトした」と分析している。
利用するSNSは「LINE」「YouTube」「Instagram」「X」が上位を占めたが、昨年4位の「Instagram」が「X」を抜いて3位に浮上。特に「X」は女性の利用率が減少傾向にある。Z世代に人気の「BeReal.」は29歳以下の女性で利用率が10%を超えた。
旅行消費、スマホ予約が7割に
旅行関連商品のスマートフォンでの予約・購入は2013年の調査開始以来継続して増加し、2025年調査では7割に達した。購入した旅行関連商品の内訳では、すべての項目で予約購入割合が増加。スマートフォンでの購入が前提となりつつある状況がうかがえる。
旅先で安定した高速のインターネット環境を望む声は、若者より熟年層、男性より女性で高い結果となった。整備してほしい場所では「鉄道の車内や駅(54.1%)」「宿泊施設(50.8%)」「ショッピングモールなどの商業施設(38.4%)」が上位だった。
eスポーツ体験者、過去最多に
eスポーツをプレイ・観戦体験したことがある人は過去最多となり、男性29歳以下では約半数の45.6%に達した。男性40代の観戦経験者増加も顕著だ。現地に出向いてeスポーツをプレイ・観戦体験する意向は、男性29歳以下で最も高く6割を超え、男性30代、40代、女性29歳以下でも比較的高い関心を示した。
eスポーツと聞いて具体的にイメージできるものについては、全体では「eスポーツのイベント、大会(18.7%)」が最も高く、男性29歳以下では「eスポーツチームやプロゲーマー(30.2%)」や「eスポーツに力を入れている企業(19.8%)」の割合も比較的高かった。
コロナ禍の行動変化に明暗
生活の中で3年前と比較して増えたこと、減ったことについては、「現金以外の買い物」が圧倒的に増加し、キャッシュレス化が広く浸透。また「インターネットで買う」割合も高くなった。
コロナ禍で広がった項目のうち、「会議・ミーティング(オンライン)」は増加が減少を上回ったが、「旅行先でのテレワーク」「シェアオフィス・コワーキングスペースでの業務」「在宅勤務」などは減少傾向となり、明暗が分かれた。
同調査は2013年に開始され、今回で10回目。首都圏、名古屋圏、大阪圏に住む18歳から69歳までの男女10,000名にスクリーニング調査を実施。そのうちプライベートでスマートフォンを利用し、過去1年以内に1回以上の国内旅行をしたことがある1,030名を対象に、2025年11月12日~11月13日にインターネットアンケート調査を行った。




