青木康弘氏(右)と山本英治氏(左)
参入にはPFI・PPPの活用を
観光経済新聞社は4日、観光業界の識者を招いてのオンラインセミナー「観光経済新聞チャンネル」の第49回配信を行った。アルファコンサルティング代表取締役の青木康弘氏と地域・PPP総合研究所代表取締役で国土交通省PPPサポーターの山本英治氏を招き、「旅館・ホテル・観光業が拓く地域創生の新戦略~PFI・PPP参画の手順と成功のポイント」をテーマに講演した。
両氏によれば、公共事業に民間事業のノウハウが不可欠な時代に突入しており、旅館やホテル、観光施設などの運営に携わる事業者にとって、公共分野への参入は新たなビジネス拡大の道となっているという。公共事業に参入する際にPPP(公民連携)やPPPの一手法、PFI(民間資金活用事業)の仕組みを活用することが重要だとした。
山本氏はPPPについて、「行政と民間が協力して公共サービスを提供する枠組み」であるとし、指定管理制度やDBO方式などの手法を紹介した。PFIにはBTO方式、コンセッション方式などの手法があるとし、行政からの委託業務ではなく、民間の経営事業として公共施設を運営することが特徴だと説明。それぞれの利点や欠点など、具体例を交えて列挙した。
山本氏は日本の現状についても言及。「今後50年間で日本のインフラを維持管理・更新するために646兆円、年間約13兆円が必要だが、現状の公共事業予算は年間6兆円程度しかない」と語り、「『行政はコストを下げたい』『民間はビジネスチャンスが欲しい』『住民は良いサービスを受けたい』の三方よしの実現が重要」だと強調した。
青木氏は観光・宿泊事業者がPPP、PFIに参入する上で、(1)自治体の計画確認や情報収集(2)行政との関係構築(3)事業性検討(4)公募・提案(5)契約・事業開始(6)運営―という6段階のプロセスごとに、戦略を立てることが成功につながると語った。自治体に採択されるためのポイントを詳細に解説し、「最も重要なのは自治体の審査項目を知り尽くすこと。『お金がない、人手が足りない』という行政の課題を先回りして、『渡りに船』となるような提案を準備することがプロジェクト化への近道」と述べた。
青木氏は「PPP・PFI事業は、地域の人口規模や皆さんの会社の強み、自治体の方針によってやるべきことが全く変わってくる。気になることがあれば気軽に問い合わせてほしい」と締めくくった。

青木康弘氏(右)と山本英治氏




