フードカートのエージーピー 設立60周年 川崎博安部長に聞く


執行役員、フードシステム事業部部長の川崎博安氏

 

大量調理の現場を支える 
機内食カートのノウハウで宿泊施設に貢献

 エージーピー(東京都大田区)は今月で設立60周年を迎えた。国内主要8空港において、駐機中の航空機へ電力や空調を供給する動力供給サービスを提供しており、CO2排出削減および騒音の低減など、空港環境の改善に貢献している。

 宿泊市場に対しては、各種フードカートシステムの活用を提唱している。

 既に老舗ホテルチェーンや、高級旅館などで活用が広がり、その卓越した機能は大手航空会社の国際線でも実証済み。病院や飲食店などを含めたあらゆる場面で、従来のクックサーブ方式からの効率アップとサービスの向上に貢献しているという。

 執行役員でフードシステム事業部部長の川崎博安氏に今後の活動方針などを聞いた。 

 ――旅館・ホテルの現状についてどう捉えるか。

 全般的には活況を呈している。東京・大阪といった都市圏を中心に訪日外国人旅行者の増加が顕著で、日本の基幹産業の一翼を担っている。宿泊施設においても今後の需要の高まりが予想され、サービスの拡張を図るなど、新たな収益源の確保に取り組んでいるようだ。

 その一方で、慢性的な労働力不足に瀕しているのも実情。特に調理の現場では、カット野菜や一部冷凍食品を併用するほか、オートクッカーを採用し、生産性の向上に取り組む施設が存在するなど、対策に苦慮、工夫している様子が目立つ。

 ――改めて貴社フードカートについて説明を。

 大手航空会社の機内食システムで培ったノウハウをベースに開発し、来年誕生から40年を迎える。

 軽量、コンパクトで保温性も高く、扱いやすい設計。大量調理の現場を効率化する新調理システム(ニュークックチルシステム)で活躍するHACCP対応の再加熱カートや、28食収納するIH加熱カートなど豊富なラインアップを誇る。

 ニュークックチルとは病院・福祉施設などでの大量調理の現場で、食事を安全に提供するための調理と保存のシステム。

 加熱調理した料理を90分以内に3度以下までに急速冷却をして、チルド帯で保存する。食事を提供するタイミングで再加熱をする調理法。1次保管をした日から5日間保存ができる点がポイント。

 また、食器単体をピンポイントで加熱することが可能で、加熱した食器分のみ電気を消費する省エネ仕様。そのため、ランニングコストの低減や、省スペースなど環境負荷の改善につながり、他社の製品と一線を画すと自負する。

 当社のフードカートを採用し、調理における業務効率化を実践していただければ。

 ――今後の営業展開については。

 当社は機内食カートの開発を起点に、医療・介護・学校など食の提供現場へ事業を広げ、食の安全・衛生・適時適温での提供を追求してきた。

 再加熱カートは、調理品質を損なわず温かい料理は温かく、冷たい料理は冷たく適温で提供可能なことも特徴。人手不足が深刻化する中でも、省人化・省エネ・食品ロス削減に寄与し、現場の負担軽減に貢献している。

 今後は旅館・ホテル、飲食分野へさらに展開し、地域のニーズに寄り添いながら営業を強化する。

 ――旅館・ホテルへのメッセージを。

 観光需要が回復する一方、調理人材不足や光熱費高騰など課題は大きい。当社のフードカートは少人数でも質の高いサービスを維持でき、施設のおもてなしの価値向上に直接つながる。これからも宿泊・観光産業を支える存在でありたい。

【本社】東京都大田区羽田空港1の7の1 空港施設第2綜合ビル
【事業内容】動力供給事業(基幹事業)、エンジニアリング事業、フードカートの製作・販売などを含む商品販売事業
【従業員数】単体:683人 連結:740人(2025年3月31日時点)
【問い合わせ】TEL03(3747)1631


執行役員、フードシステム事業部部長の川崎博安氏

 
 
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