戦略を説明する平山社長
LABO活用で増員目指す
夜行バスなどの運行を手掛けるWILLER EXPRESS(東京都江東区、平山幸司社長)は4日、2026年の戦略説明会を東京都内で開いた。25年の販売状況を振り返った上で、26年は外国人材や高卒人材、中途人材の採用活動を強化するほか、研修プログラムや業務管理システムを駆使した人材教育に注力すると発表した。
冒頭、平山氏は25年のバス事業について総括した。販売席数は運転士不足などにより19年比、24年比ともに下回ったが、乗車率はいずれも上回り、平均単価は19年から増加を続けていると報告。結果、今年の販売額は昨年比で増収増益となった。
その主な背景として、(1)宿泊費などの物価高による夜行バスへのシフト(2)インバウンドの利用増―の2点を挙げた。快適な移動の実現などのブランディング強化により、これまで夜行バスを敬遠していた可処分所得の多い層の利用が増加。また、首都圏と関西圏の間で訪日客の利用が今年は特に顕著だったとした。
一方、現在同社が抱える課題として人手不足(運転士不足)を挙げた。その解消に向けた昨年の取り組みとして、運転士職のイメージアップ(「ハイウェイパイロット(HWP)」への名称変更)や、未経験者特化型の教育研修施設「WILEER LABO」の開校などを紹介。今年からは外国人材や高卒人材の採用活動に着手していることも報告した。
これを踏まえ26年は、引き続きWILLER LABOを活用し、運転士の採用・教育を強化。目標として、現状の運転士数から10%増となる30人の純増(離職者を含めた増加)を目指す。また、同社が独自開発した業務管理システム「RootS(ルーツ)」の活用・外販にも注力する。同システムは今年外販を開始したが、契約件数を25年時点の6社(1千アカウント)から、来年は1万アカウントへの拡大を目指す。同業だけでなくトラック業界への拡販も視野に入れ、運輸業界全体の課題解決に貢献する。
大学新卒採用も本格化
平山氏は、AIが普及した近年の採用状況について、大学新卒者の応募が増えていることにも言及。「一般企業の事務職で内定をもらっている人が、『本当にこれでいいのか』と思いエントリーしてくることがこの数年で増えている」と強調。アドバンスド・エッセンシャルワーカーの時代にマッチした教育体制の強化にも取り組み、27年から大学の新卒採用も本格化する可能性を示唆した。

戦略を説明する平山社長




