特定原材料
食の多様性の中でもう一つ忘れてはいけないのが、アレルギー対応です。多くの飲食店や宿泊施設での受け入れでの食の禁忌の中には、四つの項目があります。
(1)病気に起因する制限(カロリー、塩分糖分等)(2)アレルギー(3)宗教上の理由(4)倫理上、主義、ライフスタイル―に基づく。
本連載では、(3)(4)についていろいろお話をしていましたが、(2)のアレルギーについても触れておかなければなりません。なぜなら、多くの飲食店や宿泊施設は、当然ながら日本の消費者庁の定める食物アレルギー対応に基づき対応しています。
ところが、インバウンドが急激に増える中、何となくアレルギーは、日本も外国も同じだと思い込んでいます。ここで重要なのは、当然、人種も異なるので、国が異なればアレルギーも異なるのです。
日本の場合は、義務表示(8品目)。2023年3月9日に「くるみ」が特定原材料の品目に追加され、アレルギー表示が義務化されました。これにより、特定原材料が7品目から8品目になりました。加えて日本では20品目の表示推奨項目もありますが、こちらは表示が必須ではありません。20品目から2023年度にはマツタケが削除され、マカデミアナッツが加えられました。主に意識するのは、義務表示(8品目)となる「えび」「かに」「くるみ」「小麦」「そば」「卵」「乳」「落花生」となります。
実は、インバウンドが増えて食の多様性対応が叫ばれる中で、ヴィーガン向けに日本国内では、大豆ミートの需要拡大を見越してさまざまな企業が参入して、いろいろな観光地で大豆ミートのメニューが採用されています。
一方で、世界のアレルギーを見ると残念ながら、日本のアレルギーとは異なるのです。例えば、海外のアレルギーを見ると、CODEX8品目(卵、牛乳、小麦〈グルテン含有穀類〉、甲殻類、ピーナッツ、魚類、大豆、ナッツ類)、米国指定8品目(Egg=卵、Dairy/Milk=乳、Wheat=小麦、Crustacean shellfish=甲殻類、Peanuts=ピーナッツ、Fish=魚、Soybeans=大豆、Tree nuts=ナッツ類)、EU・UKのアレルギー表示指定14品目(Egg=卵、Milk=乳、Wheat/Gluten=小麦、Crustacean shellfish=甲殻類、Peanuts=ピーナッツ、Fish=魚、Soybeans=大豆、Tree nuts=ナッツ類、Celery=セロリ、lupin=ハウチワマメ、Molluscs=貝、Mustard=マスタード、Sesame seeds=ごま、Sulphur dioxide and sulphites=亜硝酸塩)で、何とすべてに「大豆」がアレルギーとして明記されています。まさに、日本と世界のアレルギーの常識の大きな開きがここにあるのです。
次回は、この違いをどう解決すれば良いのかお話しいたします。
(メイドインジャパン・ハラール支援協議会理事長)

特定原材料




