一般社団法人ジャパンショッピングツーリズム協会は15日、訪日外国人向け消費税免税制度の廃止が日本経済に与える影響について独自調査を実施し、年間訪日客が160万人減少、GDP8,470億円の縮小につながるとの推計結果を発表した。
調査は外部の独立した機関に委託して実施。制度廃止は日本のGDPや税収、観光産業全体に大きなマイナスの影響を及ぼすことが明らかになった。
訪日客数4.5%減、消費額3,645億円減少の見通し
免税制度(輸出物品販売場制度、TFS)が廃止された場合、訪日外国人旅行者の消費額および訪日者数が大幅に減少するという。
年間で160万人の訪日客が失われ、海外からの総来訪者数が4.5%減少すると推計。この減少はホテル、レストラン、交通サービスなど観光産業全体に波及的な悪影響を及ぼすと予想される。
「訪日客の購買行動は価格変動に大きく左右される」と同協会は指摘。免税制度廃止による10%の価格上昇は、観光客の消費パターンに強い影響を与えると考えられる。
現在免税対象となっているカテゴリーにおける観光客によるショッピング支出は3,645億円、22.8%の減少が見込まれるという。
税収も530億円の純減
同協会によれば、2024年の訪日外国人による消費額は合計8.1兆円に達し、そのうち1.44兆円が免税ショッピングインセンティブに直接起因している。
調査結果では、免税制度廃止によって観光客の消費と訪問者数が大幅に減少するため、消費税収が増えるにもかかわらず、全体の税収は530億円減少する見込みだという。税収および印紙収入の0.07%の減少に相当する。
同協会は「免税制度は財政負担ではなく、中長期的には政府財政に一定のプラス効果をもたらす可能性が示唆された」と強調している。
「維持」と「廃止」を比較分析
今回の調査は、免税ショッピング制度を「維持した場合」と「廃止した場合」の2つのシナリオを比較分析したもの。観光庁や日本政府観光局、経済産業省の公開データに加え、免税事業者の独自データを収集・整理して実施された。
調査では、制度廃止を価格上昇とみなし、対数-対数回帰分析を用いて訪日客の消費額の変化を推計。価格弾力性モデルにより訪日客数の減少を予測した。
さらに消費額および訪日客数の変化を産業連関表(インプット・アウトプットモデル)を用いてGDPへの波及効果として換算し、経済への影響を試算している。
なお、2026年11月には「リファンド方式」への免税制度移行が予定されている。同協会は制度の不適切・不正な利用への対応と、引き続き日本経済の成長と競争力強化に資するものとして、制度の意義を広く発信していく方針だ。




