【輝く!若手社員】西武・プリンスホテルズワールドワイド ザ・プリンス箱根芦ノ湖(神奈川県) 調理 レイクサイドグリル担当 若林史帆さん


若林史帆さん

若林史帆さん

 ――この業界を志望した動機を教えてください。

 「子どもの頃に家事を手伝い、自分が作った食事をおいしいと食べてもらえた体験が料理を好きになった原点です。仕事として料理の道を意識したのは就職氷河期に思いをはせた時。命に直結する『食べること』を仕事にすれば、就職はもちろん、自分の食事に困ることもないと考えました」

 「実家が美容院を経営しており、その日の収入がお客さんの入りによって変動する自営業の大変さは身に染みていましたので、好きなことを仕事にしながらも、福利厚生が手厚く、安定した環境で働けるホテルを就職先に定めました」

 ――プリンスホテルを選んだ理由はありますか。

 「専門学校の卒業生が在校生向けに行う就職相談会がきっかけです。グループ系列の川奈ホテルに勤務している先輩から夏季にプールサイドで唐揚げを作った話を伺いました。厨房にこもって仕事をしているイメージだったシェフの仕事像が一気に変わり、プリンスホテルならさまざまな仕事ができるのではないかと心躍ったのが決め手。自宅から一番近いザ・プリンス 箱根芦ノ湖に就職しました」

 ――担当している業務について教えてください。

 「主にブッフェレストランの営業に携わっています。朝昼夜のレストラン営業と仕込み、食材の発注を担当しています。料理の仕込みはサラダやスムージー、オードブルなど火を使わない料理から着手。レストランの営業が開始したら、朝は目玉焼きやオムレツ、夜は天ぷらなどを提供するライブキッチンの作業に取り掛かります。夜の営業は2部制なので、合間に翌日の仕込みも行います」

 ――業務で心掛けていることはありますか。

 「同じ料理をおかわりに来てくれたお客さまに、より料理を楽しんでもらえるような”味変”のアドバイスを一言添えるようにしています。例えば、天ぷらなら1回目と異なる調味料をおすすめしています。ほかにも、炊き込みご飯にお茶やだしをかけてお茶漬けにする食べ方など、ブッフェにある料理を掛け合わせたメニュー以外の楽しみ方も提案しています」

 「料理の盛り付け方にも気を配っています。一皿を際立たせるのではなく、一定の見栄えに仕上げることを意識しています。キウイで言えば、場所ごとにどうしても直径が異なりますので、できるだけ面のサイズがそろって見えるように並べています。細かいことかもしれませんが、ほんのひと手間で全体の仕上がりが変わると思い、業務にあたっています」

 ――業務を通して思い出に残る出来事があれば教えてください。

 「現在入社6年目ですが、最初は自分で納得できるオムレツに毎回仕上げることが難しく、悩んだ時期がありました。そんな折、お客さまが満面の笑みでオムレツの出来をほめてくれたことが思い出深いです」

 「お客さまの笑顔はもちろん、一緒に働く先輩からの何気ない声かけも励みになっています。次の作業を見越してラップなどを用意しておくと、お礼だけでなく、さらっと『気が利くね』と。自分のさりげない作業に気づいてほめてくれることは大きなやりがいにつながっています」

 ――ホテルでシェフとして働くことの魅力は何でしょうか。

 「一度に50人前の料理を作ること自体が貴重な経験だと思っています。厨房を出てライブキッチンなどで接客する場面が多く、お客さまの喜ぶ顔を間近に見ながら働けるのはブッフェレストランのシェフだからこその醍醐味(だいごみ)ではないでしょうか」

 「お客さまの中には自分が普段は関わらない国からいらっしゃる方も多いです。提供する食事の配慮を通して、その国の文化や背景に興味を持ち、自分から調べることも増えました」

 ――体力勝負のお仕事、大変さはありますか。

 「入社して間もない頃は直径37センチメートルにもなるフライパンでチャーハンを作るのは慣れるまで大変でしたが、女性の同僚や先輩も多く勤務しています。メニュー考案やレシピ作成、レストランの意匠まで手掛けるなど、マルチに活躍している女性の先輩がいるのですが、目下の目標はその人をしっかりサポートすること。部署の皆と協力して、よりお客さまに喜んでいただけるサービスを提供できるよう奮闘しています」

 ――どんな人におすすめしたい仕事ですか。

 「ホテルのレストランという地盤が整っているところで料理人としてのキャリアを築いていけるので、安定した環境で料理の仕事に携わりたいと考える人には天職だと思います」

 「系列ホテルへの応援も盛んで、福利厚生に守られながらさまざまな挑戦ができることも魅力の一つです。冬に繁忙期を迎える苗場プリンスホテルに冬期応援に行きましたが、初めてメインダイニングでコース料理を担当しました。料理学校で学んだ知識をフルに生かしながら励んだ濃密な1カ月で、今も大きな糧になっている経験です」

 ――プライベートの過ごし方を教えてください。

 「海へのドライブや舞台の観劇で気分転換をしています。ほかには仕事ではあまり作る機会のない、クッキーやフォカッチャなど料理づくりをしていることも多いです」

【聞き手・桒原花菜】

若林史帆さん
若林史帆さん

◇観光業界で活躍する35歳以下の若手人材に焦点を当てた新インタビュー企画です。仕事の魅力ややりがい、キャリアの向き合い方など、リアルな声を随時掲載します。

 
 
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