人気アニメ等を軸としたJNTOソウル事務所のSNS投稿
2025年は日韓国交正常化60周年に当たり、両国において、年間を通じ、大使館主催の記念レセプションをはじめ、さまざまな企画が実施され、両国首脳レベルでのメッセージの発出や文化芸術交流、草の根交流などが実施された1年となった。
JNTOソウル事務所でも、この節目となる年を記念し、また、経営理念の一つに掲げる観光を通じた「国際的な相互理解の促進」をさらに推し進めるべく、「交流」を今期のプロモーションの基底テーマとして、クリエイティブ制作をしてきた。記念切手風のデザインによるインスタグラム投稿や、日韓の友人同士や地元の人との交流を描いた旅のショート動画などである。中でも、アニメや音楽をはじめとするソフトコンテンツを両国の交流の主軸と捉え、韓国でも人気の作品やキャラクターに関連する日本の地域紹介や、J―POP関連のイベントへもブースを出展し、所縁の地を紹介してきた。
この背景としては、韓国における近年の日本のソフトコンテンツの人気のすさまじさと、これらの人気が訪日旅行を楽しむ重要な要素の一つとして挙げられる点がある。日本のソフトコンテンツが韓国内で完全に自由化したのは、1998年の日韓共同宣言を経た2004年以降だ。この年の訪日韓国人数は158万人である。今夏、『鬼滅の刃 無限城編 第一章 猗窩座再来』が韓国でも空前のヒットをしたように、日本のアニメや映画はさまざまな作品が放映されてきたが、邦楽については、韓国の街中や各種イベントで、日本語の曲をよく耳にするようになったのは、昨春大きな話題となった日韓歌合戦番組の放送や、韓国の人気歌手による1980年代の日本のアイドル曲のカバー以降のことである。こうした中、当地では、日本の音楽イベントの開催、人気アニメが集結したポップアップ店の登場、書店の日本マンガコーナーの企画など、さまざまな動きが見られるが、いずれも連携次第で日本各地のPR機会となり得る。
昨年、韓国から2004年の5・5倍以上に当たる881万人の訪日客数を記録し、現在、韓国での「日本」や「日本人」に対する好感度は過去最高水準にある。この傾向は特に若い世代に多く、こうした日本のソフトコンテンツへの熱い視線が影響していることは明らかだ。
JNTOが実施した市場調査では、「直近の訪日旅行で体験したコンテンツ」において、「アニメ・映画の舞台訪問」は特に、韓国の30~40代家族層や20~30代の友人・1人旅行者で2~3割が体験している。日本以外への旅行では、この回答が1桁%であることから、「アニメ・映画」が訪日の誘引要素として際立っていることが分かる。
国境を超え、時代を越え、良いものは良いと言い合えるのが、日韓の現在地である。韓国の成熟した消費市場で、クリエイター、アーティストが作品づくりの着想を得た地を訪れたり、作品の世界観に没入したいというニーズを踏まえると、ソフトコンテンツを絡めたPRが、日本各地への誘客へのフックとなり得る。
(月1回掲載)

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