自動運転車両を前に(左から)久元、エスピノーサ、嘉納の各氏
神戸市と日産自動車は11月28日、白鶴酒造資料館(東灘区)で記者会見し、来年1月19日から23日まで、酒蔵の集積地「灘五郷」地区で自動運転の実証運行を実施すると発表した。久元喜造市長は「日本文化が感じられる酒蔵はインバウンドの関心も高く、こうした取り組みは新たなコンテンツとなり、地区の魅力アップにつながる」と期待した。
実証運行は日産リーフをベースとした自動運転車両1台を使用し、神戸酒心館、同資料館、菊政宗酒造記念館、浜福鶴吟醸工房を約20分かけて周回する。自動運転のレベルは運転席にセーフティドライバーが座る「レベル2」となる。試乗人数は1便当たり2人を予定。
運行に当たっては神戸市民50人(小学生以上かつ身長150センチ以上)の一般試乗も予定しており、50人を対象にする。12月19日まで募集。
酒蔵を訪れる観光客らに日産の自動運転技術を活用した新しい移動手段を提供することで、観光での発見と地域の活性化の可能性を検証し、神戸のツーリズム振興に寄与するという。
今後については、2025年度は技術開発と実証走行、26年度にビジネスモデルを検討した上で、27年度には商用化に向けた有償運行を計画。28年度はドライバーが乗車しない「レベル4」で運行し、30年度の商用化を実現したい考えだ。
会見には久元市長のほか、日産のイバン・エスピノーサ社長、灘五郷酒造組合の嘉納健二理事長(白鶴酒造社長)が出席した。
日産は観光×自動運転にかける期待として、(1)モビリティが移動を効率よくするだけでなく、地域の魅力発見を手伝う(2)自動運転モビリティと連動したAIエージェントを活用した新たなサービス機会を共創(3)灘五郷で伝承される文化と、新たに創造される価値の魅力を世界に発信―などを挙げる。
エスピノーサ社長は「自動運転がこの土地の観光価値をどのように高め、酒文化を誇る灘五郷にどのような新たな発見をもたらすのかを神戸市・灘五郷の皆さんとともに検証したい」、嘉納理事長は「安心してはしご酒ができ、酒蔵巡りがより魅力的な観光コンテンツになる。販売戦略上ででも大変助かるサービスだ」と述べた。

自動運転車両を前に(左から)久元、エスピノーサ、嘉納の各氏




