生成AIとエージェント型AIは、ホテル流通のバランスを変える可能性があり、供給側(ホテル事業者)にとっては追い風となり得る。
サンディエゴで開催されたThe Phocuswright Conferenceでは、Google Travelの元ゼネラルマネージャーであるRichard Holden、Tripadvisorの創業者で元CEOのStephen Kaufer、DirectBookerのCEO兼共同創業者のSanjay Vakilが、AIがホテル予約の「玄関口」をどのように変えているのかを議論した。
Holdenによれば、AIは旅行アグリゲーター(集約事業者)の影響力と立ち位置を変える可能性が高いという。「新しい玄関口がここで生まれていくと思う」とHoldenは語った。「供給側の視点からすると、この20年間続いてきた力関係を変えるチャンスだ。」
Holdenは、多くの面で、供給側は旅行者との接点を最大化するという点でオンライン旅行代理店(OTA)に後れを取ってきたと述べる。しかし今、消費者とより直接的につながる新たな機会が生まれている。
Vakilは、旅行者の間で人気を高めている会話型インターフェース、つまりAI搭載チャットボットが状況を変えていると指摘した。対話がChatGPTのような一つの中心的な場所で完結するようになってきたためだ。
「Googleで起きていることを見ればわかる — かつてはホテルを予約する前に40ものウェブサイトを回っていた。質問があって、その答えを得る必要があったからだ」とVakilは述べた。「会話型UIを使えば、必要な情報をその場で探し出し、一連の流れの中で完結させることができる。どのタブに何があったかを迷う必要はない。」これこそが、エージェント型AIや生成AIによって起きている「深い変革」の一部だとVakilは続け、これらの質問への最良の回答は仲介業者ではなく供給側から得られることが多いと述べた。
「仲介業者は、情報を効率的に探せるデータのコーパス(corpus)を作り上げるために多大な努力をしてきたが、その情報は比較的薄い」とVakilは言う。
一方でKauferは、OTAのようなプレーヤーが築いてきた集約機能を覆すことは簡単ではないと注意を促した。多くのOTAはすでにAIエンジンを活用しているからだ。「彼らはどうしても“最初の入口”になりやすい。しかし、DirectBookerのような企業が、AIエンジンが本当に求めるもの — 即時の最適在庫、提供可能な部屋、追加情報、あるいはOTAが持っていない追加料金プラン — を提供できるかどうかが鍵だ」とKauferは語った。
この対話では、資金調達、過去の事業、AIバブルなどにも話題が及んだ。
本セッションはThayer Investment PartnersのChris Hemmeterがモデレーターを務め、以下で全編を見ることができる。
Reinventing hotel booking with AI – Holden, Kaufer and Vakil with Chris Hemmeter





