電通グループは12月4日、世界56市場から収集したデータに基づく「世界の広告費成長率予測」の最新値を発表した。2026年の世界の広告費は前年比5.1%増の1兆392億ドル(約161兆円)に達する見通しで、広告費が初めて1兆ドルを超える節目となる。大型スポーツイベントや米国中間選挙が広告需要を下支えする。
2025年も堅調な成長
2025年の世界の広告費は前年比5.5%増の9891億ドル(約153兆円)になると予測。デジタル広告が牽引役となり、地域別では日本が3.7%増、米州が5.5%増、EMEA(欧州・中東・アフリカ)が3.8%増、APAC(日本を含むアジア太平洋地域)が6.4%増と、すべての地域でプラス成長を維持する見込みだ。
デジタル広告費は8.7%成長の6684億ドル(約103兆円)で、全体に占める構成比は67.6%に達する。
「アルゴリズム時代」の本格到来へ
2026年はミラノ・コルティナ冬季オリンピック、FIFAワールドカップ、米国中間選挙などの大型イベントが各地域の広告需要を後押し。世界経済の成長率見通し3.1%を上回る伸びが期待される。
電通グループは2026年について、アルゴリズムによる広告配信の高度化が進み、「アルゴリズム時代」が本格的に到来すると指摘。AIなど新たなソリューションの普及が広告効果を高め、市場成長に寄与するとの見方を示した。
地域別・媒体別の動向
2026年の地域別広告費は、APAC(日本含む)が5.4%成長の3764億ドル(約58兆円)で全体の36.2%、米州が5.2%成長の4605億ドル(約71兆円)で44.3%、EMEAが4.2%成長の2023億ドル(約31兆円)で19.5%を占める見通し。
注目市場では、中国が6.1%増、インドが8.6%増と高成長を見込む。ブラジルは9.1%増と世界主要12市場で最高の成長率を予測。英国も5.7%の成長率となる見込みだ。日本は2026年に2.9%増と安定した成長を続ける。
媒体別では、デジタル広告が6.7%成長し、広告費全体に占める割合は68.7%まで拡大。中でもリテールメディア(14.1%増)、オンライン動画(11.5%増)、ソーシャル(11.4%増)の伸びが顕著だ。
テレビ広告は2025年のマイナス成長から2026年は2.4%増と緩やかに回復。OOH(屋外/交通)は4.1%増、シネマは2.2%増となる一方、新聞・雑誌はマイナス3.0%と縮小が続く見通し。
テクノロジー分野の広告費が最大の伸び
業種別では、AIを活用した新製品・サービスの開始やコネクテッドエコシステムへの投資を背景に、テクノロジー分野の広告費が10.3%増と2026年に最大の伸びを記録する見込み。次いで官公庁・社会・政治・団体と飲料がともに10.1%増となると予測している。
本予測は、2025年10月までに世界56市場から収集したデータに基づき、各市場の専門的知見を取り入れて作成されたもの。対象媒体はデジタル、テレビ、新聞・雑誌、OOH(屋外/交通)、オーディオ、シネマとなっている。




