Amex GBT CEO語る、なぜAIがTMCを「強化し続ける」のか


Paul Abbott は、人工知能(AI)が法人旅行業界を再構築する中でも、トラベルマネジメントカンパニー(TMC)の価値が低下するとは考えていない。

「私は、この価値提案について非常に、非常に強気です」と、American Express Global Business Travel(Amex GBT)の CEO である Abbott は、火曜日の The Beat Live イベントで語った。

AmTrav の CEO である Jeff Klee からの質問に対し、Abbott は「その価値は維持されると思いますし、さらに強化され続けると思います」と述べた。

AI が破壊的要素であることを認めつつも、Abbott はこのテクノロジーは TMC や Amex GBT にとって「機会」であるとした。

他産業で見られるような需要減ではなく、旅行需要は今後も成長すると予想しており、Amex GBT ではすでにAI による改善が進んでいるという。

「これは概念的な未来の話ではありません」と Abbott は強調した。

同社は Egencia などのプロダクトを通じて AI や機械学習を活用し、ユーザー体験のパーソナライズを進めているが、エージェント型 AI によってさらに進化できる。Amex GBT は 10 月、エージェント型検索を備えたEgencia のアップグレード版を発表した。

また Abbott は、生成 AI によって、レストラン情報や目的地情報、代替コンテンツソースなど「これまでソフトウェアスタック内で扱うのが困難だったもの」を統合できるようになったと述べた。

「私たちはこれらの課題を本当に解決できるようになり、旅行者体験を変革し、ハイパーパーソナライズ化できます」と彼は語った。

Amex GBT は現在、Slack を通じてアクセスする企業とともにエージェント型 AI のパイロットを実施しており、Teams 経由でアクセスする顧客向けの新たなエージェント型 AI 体験も開始するという。

「新しいチャネルを通じて当社サービスにアクセスできるようになれば、私たちの価値提案はこれまで以上に強まります」と Abbott は述べた。

 

顧客体験の向上 Enhancing customer experience

Abbott によれば、顧客体験の改善とは単なる最適化やパーソナライズに留まらない。

「リアルタイムの混乱管理のような取り組みが必要です」と彼は述べた。「旅行全体がリアルタイムで監視され、旅行者が問題に直面する前に解決される ‘インテリジェントトリップ’ のような仕組みが必要です。また、これまでソフトウェアスタックに統合できなかった新しいデータソースを取り込むことも必要です。」

法人旅行においては、AI が従業員のワークフローと統合し、好みを理解し、初めて予約する従業員のプロセスを簡素化できると Abbott は述べた。

これはまだ初期段階だが、Slack 上でのエージェント型トライアルなどを通じて実際に起き始めているという。

「こうしたすべてが、マネージドトラベル体験をどんどん良くしていくでしょう。そしてそれは、私たちの価値提案にとって良いことなのです」と Abbott は語った。

* マネージドトラベル = managed travel = 出張規定に基づく法人旅行

生産性も Abbott が価値を見いだす領域であり、業務の自動化が進むほど企業の経済モデルはより収益性が高まるという。

彼は Amex GBT のデータを例に挙げた。
5 年前、Amex GBT の取引の 62% はデジタルだったが、現在は 82% がデジタル化されている。
また、5 年前は 15% の取引が Amex GBT のソフトウェアプラットフォーム上で行われていたが、今では 60% が同プラットフォーム上で処理されている。

「私たちの利益率は毎年上昇しています」と Abbott は述べた。「自動化が進むほどビジネスは強化されるという経済モデルを私たちは理解しています。AI は生産性を向上させ、旅行者やトラベルマネージャーの体験を向上させられることも分かっています。だからこそ、これに非常に大きな期待を抱かずにいられません。」

Amex GBT が売却の可能性を探っているという報道については、多くの関心が寄せられたが、Abbott はステージ上でのインタビューではその件についてコメントしなかった。

 

AI とサプライヤー価値 AI and supplier value

Abbott の発言を受けて、Klee は TMC の価値を旅行者側とサプライヤー側の双方からどう見ているか尋ねた。

「あなた方は仲介者なので、両側に価値を提供しなければなりません」と Klee は述べた。「たとえ顧客に素晴らしい価値を提供できたとしても、サプライヤーが十分な価値を感じられず、長期的にパートナーでいようとしなくなる心配はありませんか?」

Abbott は迷いなく答え、多くの要素はサプライヤーとの関係にも同様に当てはまるとした。

「もし私たちが、よりコスト効率が高く、かつ収益面でもより利益をもたらす方法で、彼らの製品やサービスを流通できるのであれば、それはサプライヤーにとって良いことです」と Abbott は述べた。

New Distribution Capability(NDC)と AI の組み合わせは、付帯サービスの拡大にも役立ち得る。Abbott は現状 Amex GBT はその「数十億ドル規模の市場」では大きく存在感を示していないが、NDC と AI によってその領域を支援できるようになると期待している。

パーソナライゼーションやより精緻なターゲティングも、サプライヤーにとって価値が高い。

ただし Abbott は、楽観論だけで語るつもりはないと釘を刺した。

「リスクが全くないとは言っていません。新規参入が増え、新たな競争が生まれ、新しいモデルが生まれるでしょう」と彼は語った。

「だからこそ、私たちは毎朝 ‘もっと良くしなければ’ ‘もっと早く動かなければ’ と自分たちを奮い立たせているのです。」

(12/4 https://www.phocuswire.com/amex-gbt-paul-abbott-travel-management-beat-live-2025?utm_source=newsletter&utm_medium=email&utm_campaign=pcww_daily&pk=pcww_email_newsletter_pcww-daily&oly_enc_id=9229H9640090J9N )

【出典:Phocuswire   翻訳記事提供:​業界研究 世界の旅行産業

 
 
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