江戸東京博物館 「幕の内弁当」審査会 最優秀賞は日本の食文化史を表現


最優秀賞の幕の内弁当

 現在リニューアル工事中の東京都墨田区にある「東京都江戸東京博物館」(愛称=えどはく)が来春オープンする。東京都と東京都歴史文化財団はリニューアルオープンを盛り上げる「まだかなえどはく」プロジェクトを推進。その一環として11月27日、東京都内で、えどはくのレストランで提供予定の「えどはく幕の内弁当」のアイデアコンテスト審査会を開催した。

 冒頭登壇した審査員の東京都生活文化局文化振興部魅力発信担当課長の知花謙氏は、「幕の内弁当の起源は、芝居の幕間に食べられたなど諸説あるが江戸時代に発祥したもの。えどはくリニューアルオープンの企画としてふさわしい」などと述べた。

 アイデアコンテストの募集期間は7月15日から9月24日までで74作品の応募があった。当日は1次審査を通過した上位5作品を、メニュー監修を担当した料理研究家の高橋善郎氏が各応募作品のアイデアを元に幕の内弁当を再現。審査員がそれぞれを試食した上で総合的に評価し最優秀賞を決定した。

 審査員は、料理研究家のコウケンテツ氏と、知花氏、東京都歴史文化財団江戸東京博物館管理課長の中村光政氏ら5人が担当。最優秀賞は「えどはく タイムトラベル幕の内弁当:江戸~令和」が選ばれた。


弁当を吟味する審査員

 審査項目は、江戸・東京らしさ、独創性・創造性、提供しやすさ、地域性、見た目の美しさ、金額感―の6項目。最優秀賞は、芝居見物の俵むすびや、文明開化のごちそう牛鍋、「三大洋食」の揚げたてのじゃがいもコロッケなどを提案。1食で江戸から令和までの日本の食文化史を旅する弁当を目指した。

 審査員のコウケンテツ氏は最優秀賞に選んだ理由を「江戸の食文化は独自性、伝統、革新、ダイナミズムだと思う。200年鎖国をしながらも独自の文化を育み、かつ、新しいものを目指してきた。この弁当にはストーリーに一貫性があり、味のおいしさ、ストーリー性、江戸の食文化に加え、今回のコンテストの核心を理解している」と評した。

 今回最優秀賞に選ばれた弁当は、今後、商品化に向けブラッシュアップを経て、一般消費者に提供される。

 えどはくは、江戸東京の歴史、文化を振り返り、未来の都市、生活を考える場として1993年にオープン。菊竹清訓氏設計のユニークな建物で、開館以来、東京を代表する文化施設として、徳川家康の江戸入府から現代に至る約400年間を中心に、貴重な実物資料や復元模型、体験型資料を用いて紹介している。


最優秀賞の幕の内弁当

 
 
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