【VOICE】唯一無二の選ばれる観光地を目指して 一般財団法人山ノ内まちづくり観光局 事務局長 石井正生氏


石井氏

山ノ内の魅力は
子どもたちのきらめく未来のために

 「えー、バスが1台足りないってどういうこと!」。これは社会人1年目に参加したスキーツアー出発当日の集合場所での出来事。とあるスキー場行きの大型バスが本来5台のところ1台が車両故障により4台になったことを説明され「旅行に行けない?」という絶望感が、1人500円の返金で補助席の利用なら「旅行に行ける!」という一瞬で安堵(あんど)感に変わったことを今でも鮮明に覚えています。

 この年は1987年に公開された原田知世さん主演の映画「私をスキーに連れてって」の翌年ということもあり、東京都庁移転前の新宿副都心の夜はスキーツアーの大型バスであふれかえっており、運動音痴の私もスキーブームの波に乗り全国各地のスキー場に出掛けました。

 あれから三十有余年。ご縁があって映画のロケ地にもなった山ノ内町の観光振興に携わることになり、新たな組織となって2年目を迎えた観光局に今春着任しました。

 町内には志賀高原・湯田中渋温泉郷・北志賀高原の三大観光エリアと訪日外国人によく知られているスノーモンキーパーク(地獄谷野猿公苑)などの観光地があり、また、恵まれた自然環境の中で丹精込めて作り出された「りんご・もも・ぶどう」などの農産物が豊富なことでも知られています。

 しかしながら、選ばれる観光地として国内外問わず旅行者の顧客ロイヤリティを向上させるためには少子高齢化や人口減少にともなう「2次交通」「人材不足」「空き家対策」やスキーシーズンの「夕食難民」など受け入れ態勢の整備が必要です。

 全国の自治体・DMO・観光協会等で取り組まれた好事例を参考にしつつも、町全体が志賀高原ユネスコエコパークに認定されており「自然と人間社会の共生」を実践するとともに「持続可能な観光地域づくり」が必要なため、地域の皆さまとじっくり話し合い、10年後・20年後を見据えた観光戦略を策定する必要があります。

 決して他人任せにするつもりはありませんが、観光資源のポテンシャルが高いからこそ、唯一無二の「山ノ内スタイル」の実現が可能なので、官民一体となり、本気で向き合える人にどれくらい集まっていただけるかが成功の鍵だと考えています。

 地域への誇りや愛着が大人から子どもへ、子どもから孫へ引き継がれることで、地域のために自ら関わっていこうとする気持ちを持った人々が増え、次世代を担う子どもたちが町の魅力に明かりをともし続けてくれる、そんなお手伝いをしたいと思います。


石井氏

 
 
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