ひだホテルプラザ会長の堀泰則氏、産業振興で旭日双光章を受章 国際観光都市・高山の現状と未来図を聞く


堀泰則氏

堀泰則氏

 11月3日、秋の叙勲・褒章が発令され、飛騨・高山観光コンベンション協会の会長で、高山商工会議所副会頭なども務める堀泰則氏(ひだホテルプラザ会長)が、産業振興功労で旭日双光章を受章した。昭和末期からインバウンド観光の可能性に着目し、観光都市・高山の発展をけん引してきた同氏に、これまでの地域活性化の取り組みや、今後の展望について話を伺った。

昭和末期に「国際観光モデル地区」に指定

 ――受章のご感想と、これまでの振り返りをお聞かせください。

 「大変光栄なことで、地域の皆さまには深く感謝を申し上げたい。これまで高山商工会議所副会頭として、街づくりや地域の商工業の発展に事業を展開してきた。観光分野では、飛騨・高山観光コンベンション協会の会長、高山旅館ホテル協同組合の理事長なども歴任。これまでの活動が、今回の受章につながったと理解している」

 ――訪日客の受け入れで注力してきたことは。

 「国内旅行の団体志向がまだ強かった昭和50年代から、宿泊業としてインバウンド受け入れのプロモーションを積極的に行ってきた。当初は国際観光振興機構(日本政府観光局)の力も借りながら情報発信を行った。昭和61年には、国際観光モデル地区の指定を受け、国際観光都市宣言を発出。市と共同で事業が展開できるようになり、広域観光に着手した」

 「道路網の整備にも精力的に取り組んできた。高山という日本の中心部で、アクセス手段の整備が課題だった。広域観光を実現するために尽力し、東海北陸自動車道、中部縦貫自動車道の整備を進めてきた」

訪日客で盛況も、課題は周辺地域PRや人手不足

 ――観光都市・高山の現在地をどのようにとらえている。

 「インバウンドでは、現在は欧米からのお客さまは鉄道需要が多く、アジア圏からはバスツアーが多い。24年度の市の入り込み客数は約77万人だったが、今年度は90万人近くになる見込みだ。これまでの取り組みで、今の高山市がある」

 「一方、高山市は全国の自治体で最大の面積を持つが、中心市街地以外の地域資源をまだ十分活用しきれていないのが現状だ。今後は周辺地域もPRしていく必要がある」

 「人手不足も深刻だ。人口減少を迎えている今、持続可能な観光地づくりを進めていくには、『多文化共生社会』を実現することが重要。さまざまな文化的背景を持つ方々を、単なる労働力としてではなく、一緒に地域振興をしていく仲間として受け入れる姿勢が求められる」

 ――持続可能な観光地域づくりに必要なことは。

 「まずは高山市のファンづくり、関係人口づくりだ。U・Iターンなど、都市部からの人口流入に積極的に取り組む。そのためには魅力ある地域であることが重要。次世代の子供たちが地域愛を育めるような教育も必要だ」

 「近年は、若い世代を中心に林業や農業への就労や、飲食分野での起業などが増加傾向にある。商工会議所としても、引き続きPRしていきたい」

必要なのは地場産品の”ブランド化” 各産業と連携強化

 ――今後の地域事業者との連携はどのように。

 「宿泊・飲食業だけでなく、農業や畜産業、木工業などの産業も巻き込み、地域全体で地場産品をブランド化する。観光以外にも、地元産品を見て、体験して、消費してもらう。観光を通して地域産業に『関わってもらう』ということが重要だ」

 「これまでもさまざまな産業と包括的に連携してきた。市では今年10月1日に宿泊税が導入されたが、これは行政主導ではなく、われわれ民間団体が提言を行い、実現したものだ。現在は、各地の観光協会と周辺の商工会も含め、連携をとれるような体制づくりを行っている」

 ――高山市がこれから目指す姿は。

 「現在、中部山岳国立公園エリアの広域観光整備に着手している。高山市は、その『ハブ機能』を持つ中心都市として発展させていきたい」

 「また、人口減少社会にも対応する。人手不足を補う手段として、観光DXも一つのツールになる。そこへの投資に対する費用対効果の追求などは簡単なことではないが、何らかの形で取り組む必要がある」

 堀 泰則氏(ほり・やすのり)高山旅館ホテル協同組合理事長などを歴任。現在は高山商工会議所副会頭、飛騨・高山観光コンベンション協会会長・KNT―CTパートナーズ会会長など、産業界で多岐にわたる活動を展開。2018年、生活衛生功労で厚生労働大臣表彰受賞、観光関係功労では、21年に中部運輸局長表彰を、23年に国土交通大臣表彰を受賞。77歳。

堀泰則氏
堀泰則氏

【聞き手・水田寛人】

 
 
新聞ご購読のお申し込み

注目のコンテンツ

第38回「にっぽんの温泉100選」発表!(2024年12月16日号発表)

  • 1位草津、2位道後、3位下呂

2024年度「5つ星の宿」発表!(2024年12月16日号発表)

  • 最新の「人気温泉旅館ホテル250選」「5つ星の宿」「5つ星の宿プラチナ」は?

第38回にっぽんの温泉100選「投票理由別ランキング ベスト100」(2025年1月1日号発表)

  • 「雰囲気」「見所・レジャー&体験」「泉質」「郷土料理・ご当地グルメ」の各カテゴリ別ランキング・ベスト100を発表!

2024年度人気温泉旅館ホテル250選「投票理由別ランキング ベスト100」(2025年1月13日号発表)

  • 「料理」「接客」「温泉・浴場」「施設」「雰囲気」のベスト100軒