「温泉文化」ユネスコ無形文化遺産全国推進協議会の「温泉/ONSEN シンボルマーク」
国の文化審議会は11月28日、2025年度のユネスコ無形文化遺産への国内提案候補として「神楽」と「温泉文化」を決定した。2026年3月末までにユネスコ事務局に提案書を提出する。審査の優先順位は「神楽」が先。
提案国は複数の新規案件を同時申請する場合、審査の優先順位を付ける必要がある。今回は既に早池峰神楽・佐陀神能の2件が「人類の無形文化遺産の代表的な一覧表」に登録されていることや、保護・継承の取組が積み重ねられてきた点を踏まえ、「神楽」を先に位置付けた。
文化庁によれば、ユネスコ無形文化遺産の審査は実質2年に1件。このため「神楽」は2028年12月頃、「温泉文化」は2030年12月頃にそれぞれ審議対象となる可能性が高いとしている。
「神楽」は北海道の「松前神楽」から宮崎県の「高原の神舞」まで、国指定重要無形民俗文化財の40件で構成。審議会では「特定の場所に神座を設け、神霊の来臨をあおぎ行う神まつりにおいて演じられてきた民俗芸能」と定義し、各地の歴史や風土を映し多様な姿を示すこと、地域の活力の源として現在も大きな役割を果たしていることを選定理由として示した。
「温泉文化」は今年7月に設立された「『温泉文化』国民会議」が担い手を務める。審議会は選定理由として「『自然の恵みである温泉に浸かり、心と体を癒やす』という、日本人に根付いている社会的慣習」であり、時代が変遷しても代々受け継がれ、日本人のアイデンティティを再認識する存在であることを挙げた。
さらに「ユネスコでの審議までの期間を生かして、国内でその内容についてより幅広い層と共有していくことが期待される」とした。




