【スタートアップ企業特集】AVITA株式会社 アバターやAIを活用したサービス開発


西口昇吾副社長

宿泊業の従業員教育
AIアバターでロープレ支援

 AVITA(本社・東京都目黒区)は、慢性的な労働力不足に瀕する旅館・ホテルに対して、アバターAIロープレ支援サービス「アバトレ」の活用を提唱するなど、業界に一石を投じている。

 副社長の西口昇吾氏にこの喫緊の課題を解決するすべなどを聞いた。

 ――宿泊施設での「教育の難しさ」を感じる現場の課題とは。

 人の出入りが激しく、教育に時間を割く余裕がないほど、常に目の前の業務に追われているのが実情。人手不足で稼働率を上げると、オペレーションが回らなくなるという宿泊施設も増えている。また、急増する外国人労働者に対しても、基本的なあいさつや日本語の敬語といった常識を教える必要があり、現場における教育の範囲が非常に多岐にわたる。

 ――アバトレを使うことでそれらの課題をいかにして解決するか。

 アバトレは、AIのアバターが仮想のお客さま役を演じるサービスで、スクリプトや台本はなく、あらゆる場面を想定して練習できる点が特徴。宿泊施設の現場では臨機応変な対応が必須で、AIはそうした多様な状況に応じたトレーニングを得意としている。

 例えば、「チェックインをしたい」というお客さま役を演じた場合、どのように質問し、案内するのが正しいのか、正しい言葉遣いでお客さまに寄り添えているかを繰り返し練習できる。単なるロープレだけではなく、会話後にはAIが定量的・定性的に均一な指標でフィードバックする。

 ほかにも、良かった点や改善点なども評価し、「笑顔で対応しているか」といった表情などの細部まで判断する。接客やコミュニケーションの評価は本来非常に難しく、評価者によって基準があいまいだが、アバトレでは均一な指標での評価を実現する。


「アバトレ」のイメージ

 ――宿泊施設での活用事例などについては。

 大手ホテルでは基本的なチェックイン方法やベルデスク対応、英語案内などの練習に活用されている。外国語での練習が可能な点も特徴で、動画やマニュアルの代わりに実践的なAIで基礎を身につけ、最終チェックを人間のマネージャーが行う―そんなハイブリッドな教育形態が主流になっている。

 ――実際の効果や現場での声については。

 新人や派遣スタッフの「独り立ち」が圧倒的に早まっている点がポイントで、AIアバターを使って自主学習できるため、教育担当者の負荷が大幅に軽減され、現場のオペレーションが効率化され、スタッフがより多くの時間を宿泊客のために使えるようになったという声が多数ある。

 ――導入の準備や、導入後のサポート体制は。

 特別な機器は不要で、パソコン、スマートフォン、タブレットのいずれか一つで利用可能。アカウントも最短2、3日とスピーディーに発行する。コストも月額数万円程度から始められ、対象人数や教育頻度に応じたプランも相談が可能。当社の代表は大阪大学の石黒浩教授で、人と関わるロボット・アバター研究の第一人者。25年以上の研究成果をもとに、AIアバターを活用した対話システム開発に豊富な知見を持つ。このノウハウは他社にはない強みで、業界ナンバーワンと自負する。

 ――今後の営業展開と業界へのメッセージを。

 これからも観光業界全体で人手不足は続くと予測され、オペレーションの負担は軽くならず、むしろ多様化する一方。AIやアバターなどを活用して現場の負荷を軽減することは、今後欠かせないと考える。


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西口昇吾副社長


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