「北門屋敷」外観
観光業界が直面するDX課題の解決へ
DX(デジタル・トランスフォーメーション)に関する技術の進歩が近年著しい。ここでは宿泊・観光業界の生産性向上、利益拡大に貢献するDXに関わる商品・サービスを紹介する。
山口県萩市の「萩城三の丸 北門屋敷」(44室)は、新日本コンピュータサービスのPMSと各種オプションシステムを導入し、館内の業務改善に役立てている。
武家屋敷の風格を宿す外観と、欧州から取り寄せた多くの調度品や屋外のイングリッシュガーデンが織りなす「和魂洋才」がコンセプト。世界遺産「萩城下町」に立地する唯一の旅館で、その滞在自体に大きな価値があると評判だ。

「北門屋敷」外観
館内で使うPMSについて、「以前のシステムも使い勝手は悪くなかったが、予約の変更通知があった際にデータを自動で取り込まず、人の手で入力を行う必要があるなど欠点があった」と同館の吉村龍一朗社長。
新日本コンピュータサービスのPMS「フューチャーV」のクラウド版を導入してからこれらの難点を解消。ただ、「それ以上のメリットがあった」と吉村社長は続ける。オプションの調理場インフォメーションシステムの導入による、調理場の業務改善だ。
調理場に置かれた大画面のモニターに、その日の宿泊者数、宿泊者の料理ランクなどの顧客情報を表示。予約の変更があった際もフロントから即座に情報が伝わる。
従来は調理場にホワイトボードを置いて顧客情報を表示していたが、フロントからの情報伝達がスムーズにいかなかったり、繁忙期は情報をボードに書ききれなかったりするなどの難点があった。調理場インフォメーションシステムの導入で、これらの難点を解消。さらに先々の顧客情報も表示できるため、食材ロスの削減、調理場の適切な人員確保などにも役立っているという。
「以前のようなロス、ミス、手間が削減された。その費用対効果は恐ろしいほど」(吉村社長)。
同様のシステムは系列の宿「萩八景 雁嶋別荘」(16室)でも導入している。





