サクララの顔認証を活用して手ぶらで改札を通過
東武鉄道と日立製作所が提供する生体認証サービス「SAKULaLa」(サクララ)に13日、新たに顔認証機能が加わり、東武宇都宮線の各駅で”顔パス”による改札通過サービスの提供が始まった。来年度には店舗での決済やオフィスの入退管理などにも利用範囲を広げ、「手ぶら社会」の実現に向けた動きを本格化させる。
サクララは、東武鉄道と日立製作所が昨年4月から提供開始した生体認証サービスで、デジタル空間に保存された個人の属性情報(デジタルアイデンティティ)へ安全にアクセスすることで手ぶらで決済や本人確認が完了する仕組み。東武グループのホテルやスーパーマーケット、埼玉県越谷、川越エリアの飲食店などでサービス導入が進む一方、指静脈認証装置の設置が難しい場所も多く、全ての利用シーンに対応するには限界があったという。
その課題を補完する形で導入された顔認証機能は、第1弾として栃木駅から東武宇都宮線の東武宇都宮駅までの各駅の改札通過に対応。PASMOの定期券利用者が対象で、事前にICカード番号や顔画像などをサクララに登録すれば、改札付近に設置したタブレットに顔をかざすだけで改札を通過できる。来春にはカメラ内蔵型の改札機も導入予定で、将来的には定期券以外の乗車券や他路線、鉄道各社への展開も視野に入れる。

顔認証を活用して手ぶらで改札を通過
来年度からは日本カードネットワークが提供する決済端末「JET―Sシリーズ」と連携し、既存端末に専用アプリをインストールするだけで店舗での顔認証決済が可能に。また、オフィスやスポーツクラブでの入退管理への活用も見込んでおり、日常生活のさまざまな場面で生体認証を活用した安心・快適な手ぶら社会の実現を目指す。
宿泊施設においては、今年8月に宇都宮東武ホテルグランデに指静脈認証に対応したセルフチェックイン機を導入。顔認証機能の対応については、「現時点では未定だが、将来的に客室の入退などに活用可能と考えており、どの認証方式が良いかは導入施設の要望も聞きながら幅広く対応していく」と東武鉄道。

ホテルのチェックインには指静脈認証が対応
13日に開いた記者発表会で東武鉄道の竜江義玄経営企画本部長は、「まずは東武グループ内で先行事例をしっかり積み上げる。併せて、親和性の高い行政への展開もスピード感を持って進めていく」と述べ、導入拡大に意欲を示した。




