林﨑氏の講演
二階俊博・元衆院議員(全国旅行業協会前会長)が会長を務める国土強靭(きょうじん)化研究所は11日、「地方創生セミナー」を東京の経団連会館カンファレンスで開いた。前内閣官房参与(地方創生担当)で現在は地域活性化センター理事長を務める林﨑理氏が「地方創生の現在地点と未来」、雑誌「ソトコト」編集長の指出一正氏が「関係人口がつくる地方創生」をテーマに講演した。
自治省に入省し、さまざまな地方自治体への出向や、地方創生の政府全体の取りまとめ役である内閣官房地方創生総括官を務めた林﨑氏は、徳島県神山町、島根県海士町、岩手県紫波町など、地方創生に取り組む自治体の事例を紹介。東京一極集中が依然として進む中でも、「この10年間に全国各地で地方創生の取り組みが行われ、さまざまな好事例が生まれてきた」と評価した。
林﨑氏は「国家と民間による制度を『縦の糸』、住民や関係者による地域の取り組みを『横の糸』として織りなされるのが地方創生だ」と強調。法律や補助金など、制度をしっかりと作り上げるとともに、「全ての取り組みの基礎となるのが『人』。永続的に地方創生に取り組むためには魂に火をつけるような不断の人材育成が欠かせない」とした。
指出氏は、「観光以上、移住未満」という「関係人口」(日常生活圏や通勤圏以外の特定の地域と継続的かつ多様な関わりを持つ人)が全国に2263万人いるとの国土交通省のデータを説明。
ただ、「小学生から高校生のヤングが見逃されている」と指摘。「自分の住んでいるまちは最高と言いつつ、自分の地元だけでなく、全国を愛する優しい心を育てる取り組みを(地域とともに)伴走している」と、自身の活動を紹介するとともに、「ヤングの関係人口を増やさなければ地方創生は先細る」と地方創生に取り組む関係者に向けて強調した。

林﨑氏の講演




