【旅館ホテルのおもてなし 88】火災③ 大谷晃


●消防訓練
 旅館ホテルはお客さまの滞在中、その命をお預かりしています。それだけに日ごろから消防訓練をしておくことが重要です。これはスタッフの防災意識を高めることにもなり、それだけいざという時に役立ちます。
 
 消防訓練は消防法で定められているもので、旅館ホテルは特定用途防火対象物とされ、年2回以上、消火訓練と避難訓練が義務付けられています。
 
 消火訓練では、消火器や屋内消火栓を使用した初期消火の訓練を行います。消火器を備えていても、いざという時使えないのでは意味がありません。初期消火であれば消火器でも鎮火できます。ここでしっかり学びます。
 
 また、避難訓練では建物内に火災が起こったことを知らせ、避難と誘導の仕方、避難器具の扱い方を学びます。避難の際には緑色のアイコンの避難誘導マークが目安となります。外国人のお客さまはそれを目にするのも初めてでしょうから、お部屋にご案内する時に、きちんと説明して差し上げましょう。
 
 他にも、消防計画に定めた回数による通報訓練もあります。火が出たことを確認後、建物内の人々に知らせ、消防機関に通報する訓練です。
 
 このような大がかりな訓練とともに、旅館ホテルで日ごろから備えておきたいのがAED(自動体外式除細動器)です。心臓発作で突然倒れた人を救うための医療機器です。スタッフは全員、使えるように学んでおきましょう。
 
 また、救急箱は必ず備えておきます。中身に何が入っているか、日ごろからよく確認しておきます。ただし、スタッフはその中の備品に限って使えますが、それ以上必要なケースでは、救急車を呼ぶか、病院にお連れし医師の診察を仰ぎます。
 
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 ■日本ホテルレストラン経営研究所=ホスピタリティ業界(旅館、ホテル、レストラン、ブライダル、観光、介護)の人材育成と国際交流へ貢献することを目的とするNPO法人。同研究所の大谷晃理事長、鈴木はるみ上席研究員が監修する書籍「『旅館ホテル』のおもてなし」が星雲社から発売中。問い合わせは同社TEL03(3868)3275。
       =隔週掲載

 
 
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