夏の繁忙期を迎え、観光業界では短期の売上確保と並行して、中長期的な経営改善や業務効率化に向けた取り組みが求められている。そうした中、宿泊施設をはじめとする観光事業者が活用可能な補助金制度が今夏、出そろった。本稿では、現場で実際に使いやすい三つの制度を紹介する。
観光産業再生促進事業
経営改善や省力化を目的とした設備投資を支援する制度であり、宿泊業を中心とする観光関連事業者が対象となる。
(1)内容:PMS、自動精算機、空調・照明の省エネ機器、スマートチェックイン等の導入
(2)補助額:補助率は3分の2以内、補助上限700万円
(3)受付期間:2025年7月16日~9月26日。
申請は電子申請システム「J―Grants」にて行う必要があり、GビズIDの事前取得が必須。早期の準備が望ましい。
インバウンド受入環境整備高度化事業(2次公募)
訪日外国人旅行者の受け入れ環境を整備することを目的とした制度であり、多言語対応やキャッシュレス対応などが対象となる。
(1)内容:多言語化、キャッシュレス対応、外国人向け観光導線整備など
(2)補助額:補助率2分の1、補助上限は事業内容により異なる
(3)受付期間:第1回締め切りは25年7月25日、第2回は8月29日。特に外国人旅行者の増加が見込まれる地域においては、地域全体での申請も視野に入れたい。
中小企業省力化投資補助金
観光業に限らず、サービス業全般を対象とした補助金であり、人手不足の解消や業務効率化を目的とした設備導入を支援する。
(1)内容:配膳ロボット、自動精算機、AIチャットボットなどの導入
(2)補助額:補助率2分の1、補助上限750万~1500万円
(3)受付期間:随時(複数回公募)
いずれの補助金も、実際の現場の課題と照らし合わせながら、無理のない範囲での導入が基本である。制度をうまく活用することで、現場の省力化やサービス品質の向上が図れることを期待したい。
(株式会社プライムコンセプト 小林義道)




