【WEBマーケティング インターネット徹底集客 364】SNSから始まる旅、ハイブリッド検索時代のWEB戦略 小林義道


 近年、旅行者の情報収集行動は大きく変化している。2025年夏、女子旅メディア「土曜日の小旅行」を運営するVoyagestonが実施した調査によれば、ミレニアル世代の旅行好き層の98%がSNSとWEBを併用して情報収集を行っている。つまり、ショート動画や投稿を通じて雰囲気を感じ取り、その後WEBで詳細を確認するという「ハイブリッド検索」が主流化しているのである。

 さらに同調査では、88%がSNS投稿をきっかけに実際に旅行や宿泊、飲食体験に出かけた経験があると回答した。SNS上の体験投稿が行動の起点として強い影響を持ち、映像や口コミが「試しに行ってみよう」という決断を後押ししていることが示された。

 国際的にも同様の傾向が見られる。Expedia Groupの「Traveler Value Index 2025」によれば、世界の旅行者の61%が旅行のアイデアをSNSから得ているとされる。特に若年層では一般ユーザーのSNS投稿を重視する傾向が強く、一方で中高年層は旅行サイトやまとめ記事などを参考にする割合が高い(Expedia Group、訪日)。SNSの影響力はもはや特定世代に限らず、世界的に旅行行動の出発点となりつつある。

 このような状況下において、観光事業者にとってSNSショート動画の活用は戦略ではなく実務である。

 第一に、公式発信だけでなく利用者によるUGC(ユーザー生成コンテンツ)を積極的に取り込み、広告色を抑えたリアルな体験の声で訴求すること。第二に、動画には過度な情報を詰め込まず、夕景、湯気、笑顔といった感情に訴える断片的なシーンを切り取ることで旅情を喚起すること。第三に、SNSから公式サイトや予約ページへスムーズに誘導する導線設計を整えることが欠かせない。

 いまやWEB集客の最前線は、従来の検索広告やSEOの枠を超えて広がっている。旅行者はまずSNSで心を動かされ、次にWEBで詳細を確認し、最後に予約へ至るというプロセスが定着した。この「SNS起点のハイブリッド検索」への対応が、観光事業者の集客力を左右する鍵である。ショート動画は一過性の流行ではなく、観光マーケティングの競争力を支える基盤となっている。

 (株式会社プライムコンセプト・小林義道)
      

 
 
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