日本交通公社が京都で「第35回旅行動向シンポジウム」 市観光協会などと高付加価値旅行を考える


旅行動向シンポジウムの様子

旅行動向シンポジウムの様子

 公益財団法人日本交通公社(JTBF、小林高広会長)は7日、TKPガーデンシティ京都タワーホテル(京都市)で第35回旅行動向シンポジウムを開催した。産官学の観光関係者がリアル、オンライン合わせて70人超が参加。高付加価値ツーリズムについて京都市の取り組みについての講演や、高付加価値旅行に携わる地域の事業者らによるパネルディスカッションを通して見識を深めた。

 小林会長は、今年4月に同法人2カ所目の拠点としてJTBF京都観光レジリエンス研究センターを開設したことを紹介。「京都は世界を代表する観光地であるとともに、課題解決先進地。歴史的にも多くの変化や危機をチャンスとして、魅力を作ってきた。状況が目まぐるしく変わる中、地域に必要なのはまさにレジリエンス。変化に柔軟に対応し、発展できる観光地域づくりの一助となりたい」と語った。

 基調講演では「高付加価値旅行者誘致に向けたDMO KYOTOの取り組み」をテーマに、京都市観光協会(DMO KYOTO)事務局次長・京都文化交流コンベンションビューロー事務局次長の赤星周平氏が講演。京都市の観光動向や観光産業、観光施策などを概観。文化的知的好奇心の高い購買力のあるハイエンド層とMICE誘致にひもづくビジネス・識者層の誘致をいかに進めるかがDMOの仕事とした上で、10年以上前にはVIP向けホテルの不足から、MICE誘致の最終段階で京都が負けることが何十回もあったことを紹介。近年続くラグジュアリーホテルの進出について、一定の意義を示した。

 20年近くラグジュアリートラベルに携わってきた立場から、ラグジュアリートラベルのメインプレイヤーである海外のバイヤーが求める情報は、宿泊を第一に、シームレスな現地行動と、顧客の知的好奇心やニーズを満たすようなコンテンツであると説明。それらをオーダーメイドで提供するだけでなく、その価値をきちんと伝えられるDMCが育っていないとの問題点も指摘した。

 加えて、「『なんちゃって高付加価値化』が跋扈(ばっこ)している」と自戒を込めて指摘。「今はインバウンドの高付加価値化に取り組む地域が多いが、まずは日本人の目の肥えたお客さまがターゲットでもいいのではないか。何のための観光、何のための高付加価値戦略なのか。観光は地域課題解決のための観光だったのでは」と問題提起。質の高い通訳ガイドの育成によるニーズ対応や、祭りなどを守り伝えるための新たな価値の創出、高付加価値化による、雇用創出と文化財の保護のための財源確保の必要性なども説いた。

 報告ではJTBF観光研究部の柿島あかね上席研究員が、日本政策投資銀行と毎年実施している訪日外国人旅行者の意向調査の結果を解説した。

 パネルディスカッションは、「地域が主役の『価値』創造~借り物の“高級”から、唯一無二の“本物へ”~」をテーマに実施。龍言の井口智裕代表、KURABITO STAYの田澤麻里香代表、京都市認定通訳ガイドでDiscover Noh in Kyotoの山根樹代表理事、Tale Naviの鬼木翔平取締役をパネリスト、インバウンド戦略研究所(合同会社minou)の清水泰正代表社員をコメンテーターに迎え、JTBF京都事務所の福永香織所長をモデレーターに、意見交換を行った。 

 高付加価値ツーリズムを行う中で、顧客ニーズと提供コンテンツのミスマッチをどのように回避していくかについて、山根氏はさまざまな販路を探る中で、顧客自身がサイトなどを見て参加する場合はミスマッチが少ないと経験を語った。その上で「『こうしたら売れる』などと商品化するよりも、能の良さを崩さずに、観光協会や初心者向けの公演などで露出と接点を増やし、お客さまの目に触れるところに出すようにしている」と紹介。

 田澤氏は「旅行会社が間に入ると、コンテンツ自体をよく分かってない人が来るので、自社サイトでのみ集客している。その際に、(1)受け入れ態勢のキャパシティから言語は日本語と英語のみ(2)料金による顧客コントロール(3)デザインによるコントロール(4)情報を出す媒体―の4点にはこだわっている。それによって、ミスマッチを防ぐだけでなく、グアテマラなどからも来てくれたり、『50万円でも喜んで払う』とおっしゃってくれたりするようになっている」と考えを語った。

旅行動向シンポジウムの様子
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