生ズワイガニをまるごと塩釜焼きにした「かにかまくら」
11月6日に漁の解禁を迎えたズワイガニ。城崎温泉も、カニ目当ての客が押し寄せる季節だ。各旅館がカニ料理に力を入れる中、唯一無二のカニ料理「かにかまくら」を提供することで知られるのが、やなぎ荘(山下耕平社長)だ。
かにかまくらというのは、生のズワイガニを1杯まるごと使ったオリジナルの塩釜焼きのこと。足だけを塩釜焼きにすることで、足の身はふっくらと、甲羅の部分は香ばしく仕上がるのが特長だ。「カニの生臭みの元は水分。塩釜にすることで余計な水分は塩が吸収し、うまみだけが凝縮されるんです。蒸しガニと焼きガニの良いとこ取りの料理法なんですよ」と、支配人の井本裕人さんは胸を張る。立体商標登録もしており、姿ガニの塩釜焼きを楽しめるのは城崎では同館だけだ。
同館は、井本さんの祖父が郵政省の保養所として1954年に開業。その後別館、新別館を増築しながら歴史を重ねてきた。かにかまくらは、新別館を作った82年に、宿の新たな名物として井本さんの祖父と当時の料理長が考案した。今でこそ冬場のカニが人気の城崎だが、当時はまだカニのイメージはなかったという。そんな中でズワイガニに着目。それまで出していた魚の塩釜焼きをヒントにかにかまくらが誕生した。
カニの時期には半数がリピーターという同館だが、近年は悩みも。気候変動などで、かにかまくらに適した大きなズワイガニが取れにくくなっている上に、近年のカニ人気で価格が高騰しているのだ。「関西に比べてカニに興味が薄かった関東の人たちが、コロナ禍のお取り寄せでカニのおいしさを知ってしまった(笑い)。カニの値段は10年前の3倍ほど。仕入れは悩ましい」と井本さん。近年は外国人客も増えており、その対応なども課題と話す。
【16室、1泊2食税込み1万4980円から】
【公式サイト】やなぎ荘

生ズワイガニをまるごと塩釜焼きにした「かにかまくら」




