【体験型観光が日本を変える400】物価高で冷え込む旅行意欲 藤澤安良


 毎日のようにコメ問題がニュースになっている。消費者米価が安くなるだけではなく、生産者が報われ、コメ生産農家が減らないように、目先だけや一過性ではなく、流通の問題を含めて、根本的に農業政策の転換を図らなければ日本の未来が危うい。それは同時に地方が疲弊することにつながる。

 参院選が近づき、政党の公約の中で現金給付の話題が飛び交う。実際に手元に現金が届くのには多くの手間と労力とコストもかかることになる。給付も消費税も何もしないで、選挙受けはしないが未来を見据えた政策が必要である。国民も今何が大切だと訴えれば気づくであろう。

 物価高対策とは困窮を感じる出費を削減することが分かりやすい。水道・電気・ガス代・ガソリン代・教育費(修学旅行費・給食費含む)・医療費などの軽減や無償化のほうが、幸福度を上げる国になる。

 コロナが明けて、インバウンドが増え続けており、依然として都市型観光と一部の地方に集中しオーバーツーリズムになっている。東京と京都は日本人より外国人宿泊の方が上回ったとの報道が本紙でもあった。

 地方から東京へ出張してくる人が困っているのは、あまりにも高いホテル代である。地方公務員の宿泊代規定を大幅に上回り、東京は実費扱いとせざるを得ない状況である。1泊部屋代のみで2万~3万円以上がほとんどである。仮に給付金の2万円では東京や京都には泊まれないし、当然、旅行に行こうと思う金額ではない。

 街中インタビューでも「この物価高で何を節約していますか」の問いに、その多くが「旅行」だと答えており、旅行マインドが下がり続けている。

 年々予約時期が宿泊日間際になる傾向がある。それにしても、早くに予約をしないと取りにくいとされている、夏休みやお盆の宿泊予約がこの時点で低調である。このままいけば、夏休み期間にも関わらず満館にならない日が多くなる。そして前年を下回る可能性もある。

 まだまだ都市型観光が主流のインバウンドを地方に誘致することは当然であるが、日本人向けにリーズナブルな金額で宿泊ができる企画が求められている。また、インバウンドも日本人向けにも、浅草の雷門も京都の金閣寺もない地方には何があるのか、旅の目的提案が不可欠である。

 自然体験、農林漁業体験、伝統工芸体験など魅力いっぱいである。それらの目的と宿泊をセットして体験宿泊プランとして割安に感じる企画にしての誘客が求められている。残念ながら宿泊事業者は自分の宿のことばかりしか考えておらず、プログラム関係者と連携したいと行動を起こさない人があまりにも多い。

 もう一つの課題は、体験プログラムの商品化にはレベルの高いガイド・インストラクターなどの存在が不可欠である。しかし、その教育研修養成ができていない。

 自己流は否定しないが、安全対策危機管理や体験者各人に心を高める体験にするスキルとノウハウを備えることが必要条件になる。私はその研修教育を30年間行っている。地方創生の挑戦者を求めたい。

 
 
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