【VOICE】石川県の取り組み 石川県 文化観光スポーツ部 次長兼国際観光課長 北口義一氏


北口氏

地方への誘客と高付加価値旅行者誘客

 昨今、訪日インバウンドの増加は目覚ましく、今年は訪日外客数が4千万人に達する勢いで推移しており、石川県でも、代表的な観光地である兼六園を訪れる外国人の数が過去最多ペースで推移している。

 このように好調なインバウンドではあるが、都市部や人気の観光地では、オーバーツーリズムが生じており、国では観光立国の実現に向け、人流の分散化と地方への誘客を促すこととしており、これまでと異なるルートへの誘客が急務となっている。

 こうした中、石川県を含む北陸新幹線沿線の自治体とJR西日本およびJR東日本では、2015年の北陸新幹線金沢開業を機に東京・大阪間を北陸経由で周遊する「新ゴールデンルート(レインボールート)」の浸透を図るためのプロモーションを実施し、今年9月には国内DMCを対象に北陸新幹線沿線の魅力を紹介するセミナー・商談会を開催した。

 初めて日本を訪れる外国人の多くは、東海道沿線のゴールデンルートを巡る傾向が強く、地方色が薄かったが、これに対し、北陸経由の新ゴールデンルートは、”日本の屋根”と呼ばれる山岳地域や、豊かな漁場の日本海など、自然豊かで地方色の強い地域を巡ることから、外国人にとって奥深い日本を体感できるとともに、人流の分散と地方への誘客に大いに寄与する。

 石川県では、新ゴールデンルートの浸透を図る一方で、インバウンドによる経済効果を高めるため、平成28年度以降、東京都や京都市などと連携して、欧米からのMICE誘致や富裕層誘客に着手してきたほか、金沢に集中しがちな外国人観光客の県内全域への分散を図るため、能登や加賀における高付加価値な体験素材やユニークベニューの開発を進めるとともに、令和5年度には、新たに米国観光レップを配置し、高付加価値旅行者をターゲットとした誘客に取り組んできた。

 折しも、令和5年3月には、石川県を含む北陸3県が、観光庁の「地方における高付加価値なインバウンド観光地づくり」のモデル地域に選定され、現在、高付加価値旅行者の誘客に不可欠とされる「ウリ」「ヤド」「ヒト」「コネ」「アシ」の環境整備に取り組んでいる。

 これからのインバウンドは、地方における消費の拡大を通じて地域の活性化を図り、観光業を魅力ある産業とすることが重要であり、石川県もその一翼を担っていければ幸いである。


北口氏

 
 
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