発表会で日本旅行の吉田圭吾社長(左)とISCの畑田康二郎社長(東京都内で)
「宇宙空間での滞在」2040年代実現目指す
日本旅行は10月28日、宇宙旅行サービスの商用化に向けて、ロケット開発の将来宇宙輸送システム(ISC、本社=東京都中央区)と業務提携契約を締結した。商品開発を段階的に進め、「地球を離れ、宇宙空間に滞在する体験」の2040年代の実現を目指す。
3段階のステップで展開する。宇宙食体験、関連施設へのツアーなど「地上にいながら宇宙を感じる体験」(スペースツアー1.0)を来年催行予定。地球上の2地点間をロケットで高速で移動する「宇宙経由の地上移動」(同2.0)、宇宙空間での滞在(同3.0)をそれぞれ2030年代、2040年代に実現させたい意向だ。
これら宇宙旅行サービスの申し込み受け付けを来年度中にも開始したい考え。スペースツアー2.0、同3.0は1億円程度の価格を見込む。
同日、東京都内で行った発表会で日本旅行の吉田圭吾社長は「日本旅行は2015年に社内で『宇宙プロジェクト』を開始。20年は専任部署の『宇宙事業推進チーム』を設立した。夢やロマンの対象であった宇宙という領域を、多くの人に届ける架け橋になることを目指した取り組みだ。本日、調印式を迎えられたことは、その理念を次のステップへ進める第一歩となる」と述べた。
ISCは22年創業のスタートアップ企業。再使用型ロケット「ASCA(アスカ)」の開発を行う。
同社の畑田康二郎社長は「当社の役割は安全に人を宇宙空間に届けること。さらにサービスとして選ばれるために、快適な旅をどのように提供できるだろうかと、(日本旅行と)これまで議論してきた」と、これまでの経緯を説明。「遠くない未来に誰もが宇宙に行ける時代は必ずやって来る。そう信じて、今からできることを少しずつ積み上げることが重要だ」と述べた。
日本旅行とISCは24年に「誰もが行ける宇宙旅行」の実現を目指した業務提携を締結。その事業化に向けた検討を進めてきた。今回、その成果を踏まえて宇宙旅行サービスを商用化フェーズへと進める新たな提携を締結した。

発表会で日本旅行の吉田圭吾社長(左)とISCの畑田康二郎社長(東京都内で)




