【体験型観光が日本を変える397】ジャカルタを訪ねて 藤澤安良


 梅雨の前の天候が不安定な日本から、常夏の国で経済成長著しいインドネシアの首都ジャカルタに渡航した。人口は東京とほぼ同じ1100万人を超えている。

 人も多いが、東京に比べて鉄道網が発達していないこともあり、車もバイクも多く、数センチから数十センチの接近戦が繰り返され、事故が起こらないのが不思議なくらいである。だから朝夕の通勤ラッシュは激しい渋滞になり、首都移転の話もある。

 日本も首都圏一極集中を打破するために首都機能分散移転か首都移転の検討議論をすると地方を見直す視点が生まれる。経済力はともかく、人は多く、若者も多い、さらに仕事をしていなさそうな人も多い。貧困格差が見て取れる。

 混雑しているバスに乗れば、すぐさま席を譲ってくれたり、路上や駅、バスの中でも迷っていればすぐに声をかけてくれる。日本も親切な国といわれ、尋ねた場合は親切であろうが、ここでは一般市民や駅員からも迷ったり困った素振りをすると、「どこへ行きますか、何かお手伝いしましょうか」など積極的に話しかけてくれる。できるだけ人とは関わりたくない人が多い日本はその積極性が失われてきている。

 人は親切だが社会は違うようだ。バスや地下鉄はICカードしか使えず、現金での切符購入が難しかったり、できなかったり、住んでいなくて1回きりしか乗らない人には不親切だ。

 日本ほどインバウンドが目立たないこともあり、インバウンド対策は進んでいない。往復の航空機の乗客も日本人は極端に少なく、ジャカルタからの成田直行便は満席でも、日本国籍の航空機でありながら日本人は2割程度と寂しい限りである。

 インドネシアはイスラム教徒が国民の9割に近いといわれる。女性は髪の毛が見えないスカーフのような布(ヒジャブ)を着用して頭を覆い隠している。長袖や長ズボンなど手足は見えない服装である。しかも全身黒ずくめの人もおり、日差しが強く暑い地域では大変な装いである。若い時から忍耐強さが養われているのであろう。

 バスは数分間隔で活発に動いており、1回40円程度と安く、市民の足のためか混んでいる。タクシーも初乗り100円程度で国際空港から市内まで約30キロは2500円と日本に比べて格段に安い。

 日本では、新幹線6割引きのJR東日本タイムセールはネット予約が集中し好評である。とにかく移動手段の交通費が安い方が、人が活発に動くことは間違いない。日本でも、鉄道、バス、高速道路通行料、ガソリン代などが旅行の起爆剤になるよう政策が打たれることを望みたい。

 食事は日本食などのレストランでは日本に近い金額となる。屋台やフードコートなどではより安く、路上にはみ出しているような店では1品が200~300円程度と格安だが、衛生面と味には自信がなく、ついぞ食べることはなかった。

 日系食堂以外は日本語表記が全くなく、これでは日本人は世界から相手にされていないことになる。アウトバウンドにも力を注がなければ、日本や日本の旅行業は忘れ去られてしまう。

 
 
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