「青春とは人生のある期間を言うのではなく、心の様相を言うのだ。優れた創造力、逞(たくま)しき意志、炎える情熱、怯懦(きょうだ)を退ける勇猛心、安易を振り捨てる冒険心、こう言う様相を青春と言うのだ。年を重ねただけで人は老いない。理想を失うときに初めて老いが来る」とは、米国の実業家・詩人・人道主義者、サミュエル・ウルマンの詩「青春」の一節。
30代の頃出会い、何かにつけて思い出し、今も大切にしている言葉。
日本という国も、社会も、個人もまさに老いの状態を甘んじて受け入れようとしているかのように思えてならない昨今、「人口も減少しているし、もうこの国は成長しない」とか「安定した大人の国を目指そう」などなど、まさに老人のたわごと、どうぞ勝手にのたまってくださいと言いたくなってしまう。
今回は少しの間こんな「私」にお付き合いいただきたい。
30歳まで都市銀行に勤めた後、実家の事業(別府杉乃井ホテル)に携わることになる。予定外ではあったが、自分で決めたことなので全力でぶつかった。
周りの人たちには恵まれたが、奮闘むなしく41歳の時に民事再生法の適用を申請するに至る。当時副社長であった私はすべての財産を失いかつ、40億円の連帯保証債務が残った。
その後、ひょんなことから企業再生の世界をのぞくこととなる。何の資格もない私に企業再生会社の社長は「この仕事に向いているのは元銀行員とか会社をつぶした経験がある人。あなたはどちらも持っているのでできるよ」と前を向ける言葉をかけてくれた。
あれから二十数年、自己破産することなく、経験を生かしながら実践を積み上げて、少しは世の中の役に立ってるのではないかと思う。
国も社会も個人も、理想を求めて成長する意欲を失ったらおしまい。国の債務、少子化、社会保障などの社会問題も、会社や個人の借金、家計の困窮、先行き不安などの個人的な問題も、前を向いて成長する努力の先にしか解決策はないと思う。
サミュエル・ウルマンが生きていたらきっとこんなことを言ってくれるのではないだろうか。「あなたの年齢が何歳であれ、あなたの中に夢が生きている限り、あなたは青春の中にいる。日本よ、年功序列も肩書も役職も、魂の炎には無力だ。他人の期待に縛られるのではなく、あなた自身の内なる声に耳を傾けなさい。社会がどれだけ速く変わっても、大切なのは『何を成し遂げたか』より『どのように生きたか』である。あなたが情熱を忘れず、学び続け、心の中に理想を描き続けるならば、あなたは決して老いない。あなたは、青春そのものなのだ」。
そんなわけで、観光経済新聞さんとは長いお付き合いをいただいています。7月3日の「観光経済新聞チャンネル」も担当させていただきます。「失敗から学ぶ」として、自分自身も含めこれまで出会った「失敗」から学んだことをお伝えし、一人でも多くの方に「青春」を生きていただきたいと思っています。
(EHS研究所会長)




