【体験型観光が日本を変える395】目に余る人命軽んじる行動 藤澤安良


 ミサイルの打ち合いで始まったインドとパキスタンの紛争は停戦の方向で動いている。ロシアとウクライナの停戦は、双方の思惑が交錯してはっきりしないが、互いが停戦を望んでおり合意を摸索するはずである。

 イスラエルのガザ地区侵攻は停戦の議論があったがイスラエルの攻撃が再燃しており、予断を許さない。至るところで紛争が起こる世界情勢の中、バチカンでは初の米国出身のレオ14世が新ローマ教皇に選出された。影響力ある地位ゆえに世界平和に大きく貢献してほしいものである。

 経済はトランプ関税で世界中が揺れている。日本国内でも自動車産業や農産物輸入についての関心が高まっている。明るい未来につながってほしいものである。

 ゴールデンウイークが終わった。好調な景気の先行き不安もあってか、4月と5月の間に平日が3日入り、カレンダーの並びが悪く大型連休とはならなかった。好調のインバウンドは別として、日本人の国内旅行は宿泊を伴う旅行よりも日帰り観光が多かったとの結果が出た。

 観光業にとっては対前年を超えなかったところも少なくない。平和で可処分所得があってこそ旅行が発生する構図である。旅行に出かける年齢として65歳以上の高齢者が多い。それより若い年齢の旅行マインドを高める機運の醸成と経済政策が求められている。

 物価高と人材不足の時代にあって若者の初任給ばかりが上がり始めているが、同じ物価高の社会にいながら就職氷河期時代の40~50代の給料の上がり方が低く、非正規雇用者も多く、受け取れる年金額も少なく、介護生活困窮者も多い。この年代が労働力としても、旅行人口拡大の中心にもなってもらいたい。国家的な政策が求められている。

 海外紛争ではないが、国内では、男2人が授業中の小学校の教室に侵入し暴力をふるい教員がけがをした。また、東大前駅で大学生を刃物で切り付ける男がいたり、孫が祖父母を殺害したり、ストーカー被害からたびたび助けを求めていた女性が殺害され、男の自宅から遺体が発見された。

 飲酒の上、車を暴走させ多くの人や車が被害にあった。なんとも、情けない事件が相次いでいる。真っ当な国とは思えない。この国にいったい何が起こっているのか、とても成熟した先進国とはいえない。

 個人的な問題だけではなく、社会的な背景も考え原因や動機の究明をしなければならない。そして旅行にも出られない海外旅行も行けないような日本にしてはならない。世情と社会の課題は密接に関係している。

 東大前の傷害事件は相手は誰でもよくて死んでも死ななくてもどうでもよく、家庭教育の在り方に一石を投じたかったとの自供があった。人命を軽んじる行動に同調できるはずもない。しかし、単に変な人間で終わらせてはいけない。くすぶり続けている社会への不満を察知して政治が動かなければならない。

 次の参院選では地方の観光振興はもとより、山積する課題の中から、国民の不安や不満に寄り添う、対応政策が打てるかどうかが争点になる。

 
 
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