【体験型観光が日本を変える417】高市総理の手腕はいかに 藤澤安良


 参院選から3カ月が経過し、国民待望の物価高対策、あるいは減税、手取り額の増加、すなわち所得向上、そして政治と金の問題などの解決は何も進まず、政治空白と言われても仕方がない状況が続いた。

 ようやく首班指名となり、日本維新の会と連立し、自民党の高市早苗総裁が総理に選ばれた。その前日の20日の東京株式市場で日経平均株価の終値は先週末と比べて1603円高い4万9185円で取引を終えた。5万円に迫る勢いである。

 市場関係者は、株高・円安・長期金利の上昇で「高市トレード」が再び活発になっているとし、「安定的な政権運営ができれば、株価の上昇傾向は続く」としている。期待感が高く、新体制で山積する多くの政治課題に遅れを取り戻すべく早急に取り組んで結果を出してほしいものである。

 10月中旬まで残暑が続いていたが、北海道に雪が降り、本州でも1日や1週間の中でも寒暖差が激しく、体調を崩す人やインフルエンザが流行しだしている。過日、私も予防接種をしたが、高齢者の接種者が多かった。

 その寒暖差は紅葉の色付きを鮮明にし、大自然や紅葉の名所にはプラス材料である。しかし、秋が短く冬が駆け足でやってきている印象がある。

 短い秋の観光の一番の資源である紅葉の名所は、熊の出没で連日ニュースになっており、熊に襲われて死亡した人は7人と史上最悪となり、けが人も続出している。

 熊は雑食であり、ブナの実やドングリなどの堅果類が主たる食料であったが、それらが凶作となれば、果物や野菜、人間の残飯や人間にも及ぶことになる。冬眠前に栄養を蓄えなければならず、共生の道は険しいものがある。その結果、観光資源である登山道やハイキングコース、あるいは公園まで立入禁止になっている場所も多い。

 物価高、インバウンド需要増、可処分所得の停滞、短い秋、インフルエンザ流行と観光産業にはマイナス材料が続いている。新政府では地方の活性化のためにも観光振興の起爆剤となるような政策が求められている。

 現金支給は生活が苦しい人は生活費に回る。余裕のある人はタンス預金や投資に向く。なかなか旅行には向いてくれない。現金よりも、過去にもあったGo Toトラベルキャンペーンのように使い道が旅行に限定されると地域振興は確実に起こってくる。

 Go Toの補助があるからといって、宿泊料が吊り上がった感は否めなかった。その反省を生かしてカード払いやキャッシュバック型やマイナンバーカードなどを絡めてもいい。制度を精査し、DX時代を推進する機会とすることもできるだろう。

 インバウンドで混み合い宿泊料が高い地域から、インバウンドが少ない地方へと脚光を浴びることになれば、受け入れ地域も旅に出る方も満足度が高く、地域活性化が浸透する政策でもある。ふるさと納税が宅配物産販売事業の様相である。制度の見直しもすべきかもしれない。いずれにしても、万博も終わり、観光の秋がないまま冬眠の季節になることのないようにしなければならない。

 
 
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