Phocuswrightカンファレンスを前に、PhocusWireは一連のQ&Aを通じて複数の登壇者を紹介している。
11月20日には、Yanolja CloudのCEOであり親会社Yanolja Groupのチーフ・ストラテジー・オフィサー（最高戦略責任者）でもあるJeff Kimが、「Changemakers」セッションに参加し、同社の継続的な戦略と成長機会の分野について語る予定だ。
以下では、Kimが人工知能（AI）への取り組み、旅行業界におけるテクノロジーの活用についての見解などを語っている。
Q: 旅行業界は技術の近代化を十分な速さで進めていると思いますか？
旅行テクノロジーへの世界的な投資は着実に増加しています。IMARCの報告によると、この市場は2024年に107億ドルに達し、2033年には186億ドルに成長すると予測されており、年平均成長率は6％強です。
しかし、その進展は均一ではありません。大手ブランドは急速に加速していますが、多くの中小事業者は旧式のシステム、分断されたデータ、高額な変革コストにより制約を受けています。
Yanoljaでは、世界130万以上の旅行関連企業と協働しており、地域の小規模宿泊施設からグローバルチェーンまで、両極の現場を見ています。私たちの役割は、システムとデータをつなぎ、企業がより効率的に運営し、収益を最大化し、旅行者にシームレスでパーソナライズされた体験を提供できるよう支援することです。
旅行業界はいま転換点にあります。適切な協働があれば、旅行の「計画」から「予約」、そして「滞在」に至るまで、完全につながった旅の体験が間もなく現実になると私たちは信じています。
Q: 現在取り組んでいる中で、最もワクワクしていることは何ですか？
私は、「テクノロジーによって旅行を10倍簡単にする」というミッションに最も興奮しています。
特に、それが最新の技術開発によって実際に実現していく様子を見るのが何より嬉しいです。
ホテルでは、当社のクラウド型ホスピタリティツールによって日々の業務が効率化され、販売チャネルはAI搭載のデータソリューションでより多くの価値を生み出しています。そして旅行者は、よりシームレスでパーソナライズされた旅の体験をすでに体感しています。
これらのソリューションが具体的な成果をもたらす様子を見ると、「イノベーションを意識的かつ大規模に適用すれば、旅行の未来はこうなる」ということを実感できます。
Q: 現在Yanoljaで直面している最大の課題は何ですか？
業界全体で最大の課題の一つは「分断」です。
航空会社やグローバルホテルチェーンのような大手企業はAIやデジタル投資を急速に進めていますが、多くの他の企業は、データを接続・共有しにくい旧式のシステムに依存しています。
マッキンゼーも指摘しているように、この「分断」と「サイロ化されたシステム」はAIを効果的にスケールさせる上で障害となります。データが連携していなければ、性能向上をもたらすフィードバックループが機能しないからです。その結果、イノベーションで先行する企業と遅れを取る企業の間に格差が広がっています。
もう一つの重要な課題は「現場での導入」です。
経営者がAIの価値を理解していても、実際に現場のスタッフが新しいツールを快適かつ自信を持って使えなければ、変革は成功しません。ホスピタリティ業界では、清掃スタッフやフロント担当、運営者が「テクノロジーによって仕事が楽になる」と実感できることが重要です。
Yanoljaでは、これを「機会」と捉えています。
当社のクラウド型ホスピタリティソリューションやAIデータソリューションを通じて、旅行関連企業のパートナーと密接に連携し、AIがどのように時間を節約し、価格決定を改善し、旅行者体験を高めるかを示しています。企業の利益最大化と顧客満足度の向上に実際の価値をもたらせることは、とてもやりがいがあります。
Q: あなた個人として、日常業務でどのようにAIを活用していますか？また、今後どのようにAIを使いたいですか？
私は毎日AIを使っています。時には、それを意識せずに使っていることもあります。
ホテルのレビューを検索したときにAI生成の要約を見るとき、AIによるレコメンドで洞察を得るとき、あるいは翻訳・ライティングツールを使って多言語・多市場で仕事を進めるときなど、AIはすでに私の日常の一部です。これらのツールによって時間が節約され、より価値の高い業務に集中できるようになっています。
Yanoljaでは、私が個人的に感じているこうした日常的な効率化を、大規模に応用してより「つながった旅行者体験」を実現しています。
当社は韓国の旅行業界で初めてOpenAIのChatGPT EnterpriseおよびGPT-5を採用した企業の一つであり、これらの機能を当社の「データ・イネーブルメント・プラットフォーム」と業界特化型AIスタックに組み込んでいます。
これにより、旅行企業は分断されたシステムやデータを統合し、需要をより正確に予測し、価格を動的に最適化し、コンテンツを効果的にローカライズできるようになります。
旅行者にとっては、「計画」「予約」「滞在」の各段階がよりスマートで、簡単で、パーソナライズされた体験へと変わります。
私が最も興奮するのは、AIによって私自身が感じている効率性を、企業レベルのイノベーションによって拡張し、旅行エコシステム全体をつなげていけることです。
Q: カンファレンスで最も話を聞くのを楽しみにしているのは誰ですか？その理由は？
旅行をよりスマートで、よりつながり、よりパーソナライズされたものにするためにテクノロジーの可能性を再考している業界の仲間たちの話を聞くのを楽しみにしています。
Phocuswrightカンファレンスは、アイデアを共有し、固定観念に挑み、イノベーションが企業と旅行者の双方にどのように利益をもたらすかを探る貴重な場です。世界中の旅行エコシステムのリーダーが一堂に会し、視点を交換するユニークな機会となります。
私にとっては、潜在的なパートナーとつながり、Yanoljaがどのように企業の効率向上を支援し、よりつながったパーソナライズ体験を提供しているかを共有し、業界全体を前進させる実りある協業につながる対話を行う絶好の機会でもあります。
The Phocuswright Conference
11月18日〜20日にサンディエゴで開催されるPhocuswrightカンファレンスで、Yanoljaのジェフ・キム氏が登壇し、同社の戦略と旅行分野での成長機会についての洞察を語ります。
【出典：Phocuswire 翻訳記事提供：業界研究 世界の旅行産業】
