先日、筆者の大好物の一つ、ウニをいただいた。保冷剤入りの発泡スチロール箱を開けてみると、鮮魚店御用達の蝋引(ろうび)き紙袋で、何やら厳重に包まれている。中の木箱のフタを開け、その下の透明プラスチックのフタを取り、白い薄紙をめくると、出てきたのは黄金色に輝くバフンウニ!
透明のフタには「日本地理的表示(GI)」のロゴマークとともに、「浜中養殖うに」と表示されたシールが貼られていた。
ここでちょっとおさらい。日本地理的表示とは、地域の特性を持つ産品のブランドを、国が知的財産として保護する制度だ。2025年3月時点で、全国161産品が登録している。
世界には約900種のウニが生息しているそうだが、国産で食用として流通しているのは主に5種類。中でも流通量が多いのが、エゾバフンウニとキタムラサキウニ。前者は可食部である精巣・卵巣が濃いオレンジ色ゆえ「赤ウニ」と呼ばれ、濃厚なうま味と甘味が特徴。一方淡い黄色の後者は「白ウニ」と呼ばれ、クセのないあっさりとした、上品な味わいが特徴。
この「浜中養殖うに」は、エゾバフンウニ。実は、天然物よりずっと高値だ。ウニは雑食性で、何でも食べてしまうため、個体によって食べる物が違い、色やサイズが均一にならない。だが、北海道厚岸郡(あっけしぐん)浜中町で養殖されるウニは、身入りを良くする「ナガコンブ」だけを食べて育つため、色や形に統一感が出る。身を一つ一つ手作業で配した「並び」と呼ばれる折り詰めは、芸術品のごとく美しい。食せば雑味がなく、ほのかにコンブの風味が香る、極上の味。
海中につるしたカゴの中で、稚ウニから3年かけて育てる。カゴが波で激しく揺られると、ウニが傷ついて死んでしまうそうだが、この海域は穏やか。また、もともと国内有数のコンブ産地である浜中なら、1日に自分の体重の5~20%もの海藻を食べる大食漢のエゾバフンウニに、十分なコンブを与えられる。この二つの条件が整っているからこそ、日本で初めてウニの海上養殖に成功したのだ。
そこにたどり着くまでには、給餌しやすいカゴの考案や入れるウニの個数、餌の量や与えるタイミングなど試行錯誤を繰り返したというが、見事に地域の特性を生かせた。成長に合わせサイズごとに選別し、穴の大きさの異なるカゴに入れ替え、カゴの中の水流を妨げる付着物を取り除くなど、手間暇かけて育てている。本来なら今は旬の端境期。天然物のほとんどが禁漁期にあたり、食味も落ちる。だが養殖の強みで、この時期を狙って育てているので、甘ウマさMAX♪ 高値が付くのもナットクだ。
古くは可食部が肝と考えられていたため、漢字で「海胆」と書いた。イガ栗のようだから「海栗」とも書く。「雲丹」の表記は塩うになど加工品を指す。江戸時代から日本三大珍味の一つとして知られてきた。昔は保存のために塩漬けにしたが、今や生のまま北海道から届く上、養殖技術で通年おいしいウニを味わえるなんて。口福に乾杯♪
※宿泊料飲施設ジャーナリスト。数多くの取材経験を生かし、旅館・ホテル、レストランのプロデュースやメニュー開発、ホスピタリティ研修なども手掛ける。




