エクスペディア・グループは10月16日、日本の旅行動向に関する調査結果を発表した。2025年の第2四半期(4〜6月)において、全世界の宿泊予約数ランキングで東京が初めて1位になったことが明らかになった。大阪も10位にランクインし、大阪と京都を合わせると全体で6位になるという。
インバウンド市場は欧米豪の割合が高く
同社のインバウンド需要の特徴として、市場全体と比較して欧米豪の割合が高いことが挙げられる。特にアメリカからの旅行者の約51%が同社を通じて予約している。カナダ、ヨーロッパ、韓国、中国など、多くの地域からの集客も拡大している。
同社の代表取締役兼エクスペディア・グループリテール日本統括ディレクターを務める木村奈津子氏は、「市場全体ではアジアからの需要が7割強だが、弊社は欧米豪のシェアが特に高い」と述べた。インバウンドにおける国籍シェアは欧米豪が70%以上を占めるという。
地方分散を促進するための取り組み
インバウンド需要が東京や大阪、京都などの大都市に集中する中、オーバーツーリズム対策として同社は地方分散を促進する取り組みを行っている。奈良県や沖縄県、「西のゴールデンルート」などの自治体と連携協定を結び、特設ページの作成やPRイベントを実施。観光庁とも意見交換を行うなど、官民連携を積極的に推進している。
「連携協定の一環として、様々な弊社のインバウンドデータを自治体の方に提供している。キャンペーン結果だけでなく、中長期的にそのデータを基にどういった施策が効果的かを共有している」と木村氏は説明した。
人気上昇中の地域は広島、栃木、新潟
2025年の人気旅行先ランキングでは、東京、大阪、千葉、京都、神奈川が上位を占めた。前年比で人気が上昇した都市トップ3は広島(55%増)、栃木(50%増)、新潟(40%増)だった。
広島の伸びを牽引しているのはアメリカからの旅行者で、検索数が前年比100%増加。「原爆投下の80周年という形で様々な平和イベントが行われ、アメリカのメディアでの露出が高まったことが要因では」と木村氏は分析した。
栃木は台湾からの検索が340%増加。「台湾からの直行便が茨城に就航しており、そこから移動して日光や鬼怒川を楽しむ旅行者が増えている」とのこと。
新潟はオーストラリアからの検索が45%増加。「オーストラリア人に人気のニセコがオーバーツーリズムで価格上昇しているため、第二のスキーリゾートとして新潟に流れている」と説明された。
アウトバウンドではアジア地域への旅行が人気
日本人の海外旅行先では、ソウル、台北、オアフ島が上位を占めた。為替やインフレの影響で、トップ10のうち多くがアジア地域となっている。
人気上昇率が高い都市は上海(91%増)、香港(48%増)、マニラ(46%増)。上海に関しては、2024年11月末のビザ緩和以降、日本人旅行者が大幅に増加。中国政府や上海政府による消費税還元などの施策も後押ししている。




