旅行率が安定している裏で、静かな変化が進行している。消費者はより慎重に支出を行い、「本当に大切なもの」を見直しているのだ。優先順位の変化は、新たな支出現実の始まりを示している。
Phocuswrightの最新旅行調査レポート『U.S. Consumer Travel Report 2025(米国消費者旅行レポート2025)』によると、年間平均支出額は減少している一方で、旅行回数は変わっていないという。新しいデータでは、旅行者たちは航空運賃が高くなりすぎた場合、飛行機旅行の代わりに車での旅行を検討する、もしくは旅行自体を控えて他の製品やサービスにお金を使う可能性があると回答している。

またこのレポートは、若い旅行者が市場にわずかに増えている一方で、年齢の高い経験豊富な旅行者が徐々に離れていっていることも明らかにしている。若年層の旅行者はより価格に敏感であり、価格比較ができるという理由からオンライン旅行代理店(OTA)を活用する傾向が強い。
主要な旅行要素の予約率自体はほぼ変わらないものの、旅行者の「調査」「計画」「選択」の方法が水面下で変化している。旅行者たちは旅行の調査に多くの時間を費やしていると報告しているが、一般的な検索エンジンの使用は減少傾向にあり、これは人工知能(AI)による検索ツールの台頭を反映しているとみられる。検索行動、予約チャネル、宿泊選択のいずれも、より意図的で価格重視の旅行者像を示している。

OTAなどの間接的な予約チャネルや仲介業者の利用が増加しており、旅行者が「価値」や「比較の選択肢」を求めていることを示唆している。宿泊や目的地の選択にも微妙な変化が見られ、価格と価値を重視する経済的慎重さの高まりがうかがえる。
旅行は依然として強靭だが、それを形作る力は急速に変化している。消費者はトレードオフ(取捨選択)を考慮し、より賢いツールを活用し、かつてないほど「価値」を求めている。
Phocuswright『U.S. Consumer Travel Report 2025』
このレポートは、米国のレジャー旅行者を対象とした包括的な調査に基づき、米国の消費者旅行市場に関する幅広いデータと分析を提供している。また、これらの傾向が時間の経過とともにどのように変化してきたかについても考察している。
【出典:Phocuswire 翻訳記事提供:業界研究 世界の旅行産業】




