観光経済新聞社と宿泊施設関連協会(JARC)は10月27日、観光経済新聞チャンネル特別版「中小企業省力化投資補助金 事業者登録セミナー」をオンラインとリアルのハイブリッドで開催した。中小企業庁経営支援部イノベーションチーム(省力化投資補助金担当)参事官補佐官の角田大輔氏(=写真左)と中小企業省力化投資補助金事務局の林徹也氏(=写真右)が講演。人手不足解消に効果のある「省力化投資」を後押しする補助金の概要と事業者登録の申請方法を「カタログ注文型」の省力化製品「製造事業者」と「販売事業者」に向けてわかやすく説明した。

宿泊業も対象の省力化促進プラン、5年間集中取り組み
林氏は冒頭、政府の「省力化投資促進プラン」について解説した。「政策ワードとして省力化という言葉が使われている」と指摘。「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2025年改定版」が閣議決定され、宿泊業を含む12業種を対象に「2029年度までの5年間を集中取り組み期間として、業種の特徴を踏まえたきめ細かな対応や支援策の充実、全国的なサポート体制の整備に取り組む」としている。
宿泊業の場合、目標として「2029年までに対2024年度比35%増」の労働生産性向上を掲げ、補助金利用実績9000件、ホームページPV数年40万、説明会・相談会参加人数年500人をKPIとして設定している。事例としては、宿泊施設向けの自動チェックイン機や配膳ロボット、清掃ロボット、予約管理システム(PMS)などがある。
カタログ注文型と一般型、二つの補助金制度を解説
省力化補助金には「カタログ注文型」と「一般型」の2種類がある。林氏は「今日はカタログ注文型の説明がメイン」としながら、両方の特徴を説明した。
カタログ注文型は、あらかじめ登録された「省力化製品」をカタログから選んで導入する形式。「カタログに載っているものから選ぶカタログ注文をするという形で、カタログ注文型と呼んでいる」と説明した。現在、120カテゴリー1421製品が登録されており、清掃ロボットや配膳ロボット、自動チェックイン機、スチームコンベクションオーブンなど、宿泊業に関係の深い製品も多く含まれている。
補助率は2分の1で、補助上限額は従業員数によって異なる。5名以下は200万円(大幅賃上げの場合300万円)、6~20名は500万円(同750万円)、21名以上は1000万円(同1500万円)。「大幅な賃上げをやりますよという宣言をし、やりましたという形で証明出していただければ、補助上限が1.5倍になる」と説明した。
カタログ注文型の特徴として、①予め登録された省力化製品をカタログから選択できる、②申請手続きが簡易で、最短1ヶ月で交付決定、随時公募受付、③省力化製品の販売事業者が導入と申請手続きをサポート(共同申請)、の3点を挙げた。
一方、一般型はオーダーメイドの設備導入が可能で、「現場に合わせていろんな組み合わせをしてもらって構わない」と説明。公募回制で、申請書類も詳細な計画が必要となり、審査に約3ヶ月かかる。補助上限額は最大1億円と高額だが、「それなりに時間がかかる」と話した。
販売事業者・製造事業者の登録がポイント
林氏は特に、販売事業者の登録手続きについて詳しく説明した。「カタログ注文型裏を返すと、販売店さんに非常にご協力いただきたい補助金」と述べ、販売事業者登録の重要性を強調した。
登録には、①販売しようとする省力化製品または同一カテゴリに属する製品の販売実績があること、②供給体制が整備されていること、③保守・サポート体制を構築していることなどが要件となる。「販売事業者としての要件・責務をきちんと読んでいただいて、それをやりますよということをいただかないと先に進まない」と注意点を挙げた。
また製造事業者の登録についても言及。「工業会に自社製品がこの省力化製品に当たりますよということを見ていただく」必要があり、工業会の審査を経た後、事務局側で製造事業者としての要件を満たしているか確認する流れになる。
林氏は最後に「カタログ注文型、こちらのほうをぜひ簡易なものですので活用いただきたい」「販売事業者、製造事業者にぜひなっていただきたい」と呼びかけた。さらに「一般型というものもある。ちょっとハードルが高いですけれども、その分補助金上限額も高くなっています」と締めくくった。






