従事者の愛着と現場のギャップ鮮明に、専門人材確保に壁
リクルートは10月23日、「観光業界課題調査2025」の結果を発表した。調査を実施したじゃらんリサーチセンター(JRC)によると、観光産業の最大の課題として48.6%が「観光現場の働き手不足」を挙げ、「観光マネジメントの人材不足対策(専門スキル人材・高度人材の不足)」も41.3%と高い値を示した。観光事業従事者が居住地域への愛着を持ちながらも、現場では人材の量と質の両面で課題を抱える実態が浮き彫りになった。
調査では観光業務従事者1,645人を対象に、観光業界の課題や労働環境について聞いた。「観光地の受入環境整備(二次交通・インフラ等)」も47.3%と高く、人材不足と併せて観光地の持続性に直結する課題として顕在化している。
専門スキル人材の確保・育成が壁に
人手不足の具体的要因としては、「賃金水準が低い」(37.5%)、「専門スキルを持った人材を育成する体制が不十分」(35.4%)、「仕事内容に魅力が伝わりにくい」(34.8%)などが上位に挙がった。特に宿泊施設では「仕事内容に魅力が伝わりにくい」が58.8%と突出して高く、業界のイメージ課題も明らかになった。
また、居住エリアや観光業全般への愛着は高い一方で、所属組織や自身の業務に対する推奨度は低く、働く場としての魅力と地域愛のギャップも浮き彫りになった。宿泊施設では所属組織への批判者(不満層)が54.6%に達し、業務・役割への批判者も51.0%と半数を超えた。
JRCは課題解決に向けた対策として、「人材の裾野を広げる仕組みづくり」「スキルとキャリアを育む仕組みづくり」「地域愛を働きがいにつなげる環境づくり」の3つを提言。シニア人材の活用や観光人材留学、次世代経営者育成プログラム、地域全体で従業員を支える「那須ワークコミュニティ」などの先進事例も紹介している。
調査は2025年7月29日から9月2日にかけて実施。回答者は行政(都道府県庁・市区町村、観光協会・DMOなど)458人、民間企業462人、宿泊施設459人、その他266人の計1,645人だった。




